2020年11月2日月曜日

何だったのか「大阪都」構想:これを機に人口減の地方行政を考えてみるか

 2度目の維新の会主導の「大阪都」構想が13000票差(最終集計ではない)で再び否決され、松井市長は「責任を取って政界引退」、吉村知事は「再び私がやることはない」と発言し、大阪都構想が葬られることになったが、決して他人ごとではない。これから人口減もあり地方行政の在り方が問われている。考え直す機会にしたいものだ。

今回の投票は大阪市の名称をどうするかだが、根本には大阪都構想がある。問題の発端は大阪市と大阪府がインフラ整備で同じようなことをやっているのは税金の無駄使いで回避すべきではないか。さらには住民サービスの向上にある。

松井市長も国政選挙で大阪は実績を上げてきた。国もできないことはないと訴えていた。だから制度設計にはいいところもあるらしい。

ところで今回の住民投票を見てみると賛成は66.7万人、24.7%、有権者数でみると30.3%、反対は68万人、25.2%、有権者数でみると30.9%、13000票差で反対多数となった(数字は最終集計結果ではない)。

しかし多数決で決める住民投票のやり方に問題はないか。

ある専門家は多数決で決するには投票率70%で賛否は75%が必要という。賛成が75%なら賛成多数というのだ。東京都のある自治体で環境施設の問題で住民に賛否を求めたが投票率が50%を切った時には開票しないという条件があり結局開票しなかった例がある。

それに説明が不十分ともいわれていた。大阪市を廃して4つの特別区にする場合に、行政上のやりくりがある。議場、出先機関、議員などどうするか。さらには名称変更による手続き業務など初期投資はいくらになるのか。

ランニングコストはどうか、大阪市の財政局が218億円の経費増を発表したら松井市長が猛烈に反論した。大阪市を4つの特別区にする場合の計算基準ができていないというのだ。だから既存の基準で計算することできないという。スケールメリット(人口減)がなくなるのが原因らしいが、ではいくらになるのか。

近隣自治体との関係はどうなるのか。

コロナ下での現在、こんなことをやっている暇はないだろう。大阪が東京より感染者が増えているではないか。

東京都の場合もこのままでいいはずはないのだ。「都区の在り方検討委員会」が設置され事務分担が議論されているが進まないという。問題は区域の再編らしい。人口6万人から90万人の区があるのだ。ある区長が新聞で「大阪都構想もよく検討されている」と評していた。大阪は市から都、区、東京は区から市を希望する住民もいるのだ。

どうしても避けて通れない人口減における地方行政の在り方を国はしっかり議論すべきではないか。



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