朝日新聞 2020.11.1
今年2月、逗子のマンション所有の急傾斜地の崩壊で18歳の女子高生がお亡くなりになった事件に関して11月1日付の朝日新聞、読売新聞で当時の状況が報道された。この記事の中で「オリックス傘下の管理会社」ということで大京アステージか穴吹コミュニテイーのどちらかと思って2月の当時の新聞記事(電子版)を検索した結果、概要がわかった。
(1)
マンションは2004年、大京とグローベルが分譲した「ライオンズグローベル逗子が丘2」、社員寮の跡地に地上5階、地下1階の規模。
(2)
管理会社は当然に大京アステージ
(3)
所有地内に急傾斜地を含み、分譲後の2011年に土砂災害特別警戒区域に指定されるが専門的な管理は管理契約に記されていなかった(結ばれていなかった)。
(4) 急傾斜地に隣接し、地下1階建てというが特に地盤工事はやっていなかった。
新聞報道による当時の状況
事故の前日、管理員が傾斜地で4mの地割れを発見し管理会社に写真を添えて報告。管理会社は県や市に電話したそうだが地割れについては特に触れなかったという。そして翌日の朝、がけ崩れが発生市道を通っていた18歳に女子高生が巻き込まれ死亡した。
県の発表では管理会社は事故の5日後に地割れ発見、写真を撮ったことを報告した。もし地割れ、写真について話があったら事故の回避はできたかもしれないがそうだとも言い切れないという。
その後、両親が大京アステージと区分所有者を相手に逗子署に告訴、受理されたという。
管理会社は業務上過失致死容疑、区分所有者は過失致死容疑で損害賠償1億2000万円要求。
現在どう進んでいるかはわからない。地元紙を検索すれば出ているかもしれない。
大京アステージのマンション管理の是非が公判で争点に
この種の刑事事件で考えらえる争点
通常、マンションのことで事件が起きた時は管理組合と被害者との関係になり管理会社はあまり表に出てこないのだが、今回は管理会社、担当者の対応の適否がクローズアップされたためにその責任が追及されたのか。
①
大京アステージのマンション管理の在り方
緊急事態、異常事態への対応・・会社として対応マニュアルができているか
管理員から報告を受けた管理会社の担当者の措置が正しかったか
上層部に報告せず、自分で対応していたか
②
担当者に「予見可能性」(急傾斜なのでがけが崩れると市道を歩いていた人や通行車両に危険が及ぶことをあらかじめ想定できたか)があったか
これが一番のポイントか
なかったら善管注意義務? マンション立地条件をしっかり頭に入れた管理をやっていたか
③
管理契約はどうだったか
急傾斜地警戒区域に指定された時点で管理強化の必要はなかったのか。
管理組合の責任は・・管理会社に「お任せ」だったのか
管理会社の責任は・・管理会社は管理契約を結んでいなかったと免責を主張か
今回は管理員が地割れを発見し報告していたが、どうしてか。管理員が自主的にやっていたのか、管理会社から口頭で言われていたのか。
④
何故、事故当時報告せず、5日後だったのか
あわよくば隠蔽、善後策を考えていたのか
親会社のオリックスと協議が必要だったのか・・大京アステージの役員にはオリックス出身者が多い。
⑤
管理会社の事故後の対応の是非
気になることはこういう事件の場合、該当する管理会社(大京アステージ)のコメントを新聞に載せるが、今回は親会社で統括会社のオリックスのグループ広報・渉外部が「捜査中でありコメントを差し控える」と発表している。
事の重大性からこうなったのか・・・逆に大京アステージの経営に対する主体性がなくなっていないか・・ここが一番心配
⑥
大京の責任もある?
急傾斜地に隣接する地下1階工事で地盤工事をやっていなかったというが、本当に必要なかったのか。
工事費のコストダウンは建材の削減(例えば土壌改良剤など)にある。土壌改良工事が必要ではなかったのか。
⑦ マンション管理組合の責任
マンション内、敷地内の巡視をやっていたか。異常の発見、危険予知が十分だったか。事故後は何でも言えることだが、急傾斜地での異常の発見、危険回避は可能だったか。安全配慮義務、注意義務を果たしていたか。
損害賠償が1億2000万円ということは一区分所有者当たり200~300万円ということになるが、裁判としては8000万円ぐらいか。区分所有者、管理組合に重大な責任がある場合はもっと高額になるか。この事故は死者が出ている。両親も相当に管理会社の責任を追及してくるだろう。
これを機に国土交通省登録の管理会社の質が社会問題になり少しでも改善すれば望むところだ。
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