2020年11月6日金曜日

日本学術会議任命拒否問題:甘く見るな! 民主主義の問題なのだ 

 

今国会の予算委員会での野党vs総理の攻防は日本学術会議任命拒否問題だ。野党は一気に首相を追い込むつもりだったようだが、拒否説明を聞くことができず手詰まり状態だという。自民党は菅総理が説明に行き詰まると考えて日本学術会議の組織見直しにすり替えようとしている。

自民党応援団はもっと大事な問題があるだろうと野党を批判するが、これほど大事な問題はないのだ。「学問の自由」で考えると視野が狭くなるが、本質的問題は菅政権の「民主主義」の問題なのだ。先に朝日新聞で山極前会長も指摘していたように「学問の自由より民主主義の問題」なのだ。 

国家権力が交付金を盾に組織の在り方、運営に口出ししてくる。任命権も形式的なものと考えられていたものが、拒否権を持つ内容に解釈変更をされている。拒否理由も説明責任を果たしていない。個々の人事にコメントしないというが場当たり的だ。 

10億円の交付金、特別国家公務員の身分で人選まで口出しし、「総合的、俯瞰的」に組織の内部を問題にする。だとしたら400億円の政党助成金をもらいながら政治資金規正法違反が絶えず、国会より金集めに奔走している国会議員をどうするのか。「政治資金を気にすることなく政治をやりたい」主旨で決まったがどうなんだ。 

日本学術会議メンバーに推薦するのは「科学分野で優れた研究、業績のある」ことを念頭に各分野で選出している。基準がきちんとあるのだ。それに従っての任命拒否ではなさそうだ。菅総理は6人のうち5人は名前を知らないというし、業績など知らないのだ。それでも任命拒否をした。「違法だ」と言われても仕方がない。 

国家権力は組織の自主性を認めなければ民主主義は守れない。

「国民や国会に対して責任を負う」ともいうが、国有地、公有地の格安払い下げなどのスキャンダル、政務に関連した汚職、政治資金規正法違反などを抱える議員をどうして政党は公認するのか。特に自民党に多い。スキャンダルが出るたびに議員辞職が問題になるが、政権は「本人が説明責任をはたせ」「ご自分で決めること」と政党としての責任を果たそうとしない。

民主政治の基本は国民に説明責任を果たすことではないのか。国家権力は都合の悪いことは避けたがる。

恐らくいろんな理由を菅政権は上げているが、つじつまが合わず、支離滅裂と評判が悪い。 

人文・社会科学分野の6人が任命拒否されたということは、新聞でも報道されている通り「公聴会で政府の政策に反対した」ためだろう。 

伊吹・元衆院議長は「特別職の国家公務員で学術会議の肩書を持って政治的発言をするのは控えろ」と発言したらしいが、これが自民党、自民党政権の本音だ。 

人文・社会科学分野の研究者、学者は政府の政策の是非を発言するのは当然で、それを排除するのは民主主義に反する。 

国の最高権力者が意に沿わないことを理由に人間を切ることは民主主義に反する行為だ。中国、北朝鮮、ロシアをはじめ新興国に見ることが多い。

最近では自民党総裁選で地方で人気のあった石破さんが選出法などでつぶされる結果になった。石破さんは会長を辞任し石破派は竹下派の合流する話も出ていた。石破さんは自民党内でも正論を吐くことが自民党各派から嫌われたのだ。菅さんに総理、総裁の流れができると自民党議員は何も考えずに一気に菅さんに流れた。 

日本学術会議の任命拒否問題は、「学問の自由」ももちろんだが、民主主義、民主政治の問題でもあるのだ。菅総理の政権運用を厳しき監視していく必要がある。 

そのためには野党の成長が必要だ。国民もメデイアも野党を育成していく必要がある。欠点ばかり指摘せず良い方向に導くことが大事だ。

 

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