2018年8月19日日曜日

安倍政権の検証(1):表面的指標は政治活動の活性化でもその内実は


安倍政権の実績を検証するとき、気を付けなければならないのは表面的指標は政治の活性化を示していてもその内実には問題があることだ。かなり前、TBSテレビの夜の情報番組に安倍総理が生出演した時のことだ。番組は安倍政権の政策を街角調査した結果、ほとんど全員が成果が見えないと回答した。

それを見た安倍総理が猛然と「実態を示していない」と異議を唱え、好転している経済指標をペラペラ口に出し反論したのだ。普段は使わない指標を並べ上げたのだ。

そういう光景は以降のテレビ出演でもうかがえた。安倍政権の政策は末端の国民の生活感とはギャップが大きいのだ。

そんな事もあってのことだろうか。安倍総理は総裁選の出馬宣言も先送りし6年間の総括どころか、今後3年間の政策の発表もしない。今言っているのは、安倍総理の意向を加味した憲法改正だが、石破さんは反対しているし、友党のはずの公明党も慎重な姿勢だ。

政権の政策の成果にはプラス面とマイナス面がある。政権側はプラス面を主張するが通常の国民はマイナス面を重視する。低、中所得者、地方の居住者には経済政策の成果が出てこないのだ。

安倍総理もそのことを分かっているので総括を嫌がっているのだ。さらに今後3年間での経済の舵取りは困難を極める。東京オリンピック後の日本経済は停滞が予想されている。

消費税の10%への増税は折角「緩やかな回復基調」に有りながら腰砕けの危険がある。今まで増税した政権の運命は厳しい。安倍総理が3度目の先送りを出来るかだ。財務省vs経産省、対麻生の処置を間違えると安倍政権は短命に終わる。

評判の良くないアベノミクスも政敵からは見直しの必要性が言われている。「異次元の金融緩和」は当初は株安→株高、円高→円安に動き長かった停滞期を脱したかに見えたが津々浦々までアベノミクスの恩恵を行き渡らせることは出来なかった。未だ、アベノミクスのエンジンを加速すると言って居るのは安倍総理だけだ。

対抗馬とみられていた岸田さんは「アベノミクスの見直し」を主張していたのに、何故、安倍総理支持に回ったのか。不可解な動きだ。

日銀に頼った「異次元の金融政策」もリフレ派による非伝統的金融政策、欧米の中央銀行は早々と2%物価目標未達でも緩和縮小、金融政策正常化に向かっているが、日銀は一人だけ頑なに2%を目指している。しかし副作用は大きく長期金利ゼロ付近も修正し小幅の金利上昇を容認した。

日銀は国債を買いすぎたため(?)に資産は500兆円を越えGDPにも匹敵する規模になった。

今後は国債価格の下落→金利上昇→日本経済は大混乱という事になるか。何時も犠牲になるのは国民だ。

2%物価目標に安倍政権は固執するが、今はゼロ%後半で専門家は否定的だ。個人消費が伸びないとみた安倍政権は経済界に3%以上の賃上げを要求するも実績は2%台、経済界にも異論がある。

アベノミクスはトリクルダウンを狙っていたが家計への再分配は難しい。海外の専門家はトリクルダウンなんて見たことがないと笑う。

目玉政策の「働き方改革」は正規従業員には「虐め」、非正規従業員には「多様性」を提供するらしい。労働裁量枠の拡大は厚労省のデータ不正使用で先送りになったが、現在でも大企業では違法な労働を強いる事例が多く報道されている。

「過重労働からの自殺」を防止する制度だったが、企業が悪用しているのだ。

豪雨などによる災害は多発している。政府の対応は後手後手と批判されているが、安倍総理は被災地視察を欠かさない。パフォーマンス以外に何物でもないのだ。

原発再稼働は安倍政権の重要課題で電力会社の経営改善、電力料金の値下げに貢献出来るが、世界は自然エネルギーの利用だ。原発問題は「脱原発」として与野党ともに重要な政策課題だ。

自民党総裁選も国会議員、経済界、富裕層の人たちには安倍総理支持が多いかも知れないが、地方には中小企業の経営者やサラリーマン、高齢者も多いだろう。そういった人たちがどう判断するか。

「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」というのが、憲法前文であるが安倍政権を政策、政権運営を見ていると「その福利は安倍晋三が享受する」としか思えない。

次回は、国政、政権運営について考える。

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2018.8.16掲載
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