2018年8月22日水曜日

今日の新聞を読んで(176):中曽根、小泉、安倍の長期政権を考える


安倍第2次政権が長期政権の記録を作りそうだが、読売新聞(2018.8.22)の「深掘り 世論調査 内閣支持率分析 上」を見て中曽根(平均支持率48%)、小泉(56%)、安倍(55%)の長期政権の「何故か」を考えてみた。それぞれの政権が前の政権の不人気を受け、発足したが中曽根、小泉政権の後の政権も短命政権に終わっている。

自民党政権にあって「次」がいたために長期政権の礎があったのだろうが、第2次安倍政権は「次」を潰しての長期政権だ。安倍さんが3選を果たしてもその3年後の政権はどうなるのか。

読売新聞は安倍支持(?)での解析をやっているのだろうが、当時のことを思いだしたらどうなるか。

中曽根内閣を考えると、前の鈴木総理が政権を放り出し中曽根内閣が発足、最高支持率は59%だったが公約を破り売上税を導入、支持率を落とした。レーガン大統領との親密さを強調し外交に力を入れた。日本はアメリカにとってはロシアの脅威の盾になっている不沈戦艦発言が有名だ。ロシアの脅威を煽って強い外交力を示し支持率を維持する事は第2次安倍内閣が北の脅威を煽っているのと同じだ。

売上税導入は公約違反と批判を浴び支持率が急落したが何故、50%近くまで戻したかは思い出せない。

続く竹下内閣は消費税導入で支持率が8%まで下落、日本国家のためと決断したのだろうが国民は理解出来なかった。また政治資金疑惑もあって秘書が自殺した不祥事も続き短命政権で終わった。でも竹下語録は国会議員のあり方を教え今でもメデイアが時々報じている。

小渕さんの突然の死亡を受け、密室協議で小渕さんの意向(?)で「次は森」となり森政権が発足したが「神の国発言」や水産実習船の「えひめ丸」がハワイ沖で米国潜水艦と衝突沈没したニュースにもかかわらずゴルフを続けたと批判され引責辞任した。

その後小泉政権だ。発足時86%の支持率には驚く。田中真紀子さんが「男なら立ちなさい」と出馬を後押しし、外務大臣に就任させたことの影響が大きかった。その後外務省内でのトラブルで田中さんを更迭した途端に42%に急落した。

「反対する者は抵抗勢力」「自民党をぶっつぶす」で自民党長老は声をひそめ、中曽根、宮沢さんに引退勧告もし自民党改革に突き進んだ。

米国からの強い要望もあった郵政民営化で自民党を圧勝に導いたが、その後国会を延長することなく閉会させた。背景に年金問題が浮かび上がり問題化する恐れがあったが小泉内閣での不祥事追求は避けたのだ。

その結果、後を禅譲された安倍第1次政権では年金記録問題が表面化、加えてお友達内閣での閣僚不祥事が多発し、体調不良で政権を放り出した。

その後の福田、麻生内閣は惨めだった。両内閣共に解散に向けてのワンポイントリリーフの内閣だった。福田さんは「自分は選挙向けの顔ではない」と辞任、その後の麻生さんは経営者感覚での政策運営が期待されたがリーマンショックで経済対策を優先し解散を先送りした。

その結果、解散総選挙で自民党は惨敗し民主党政権へと移る。このときの経験から麻生さんは今回も「早い内の解散」を安倍総理に進言しているがどうなるか。

民主党政権では鳩山(最高時75%→辞任時19%)、菅(66→18)、野田(65→19)と支持率の乱高下が続く。小沢さんとの権力の二重構造は終始付きまとい、普天間移設での二転三転、東日本大震災、「何時解散か」で民主党政権は落ち着かなかった。自民党政権との違いを示そうと短期間に難しい問題を抱えたことになる。

安倍総裁(当時)と野田総理(当時)の党首討論で「約束してくれるなら明後日解散します」の言質を取った安倍総理は寧ろ驚き中腰で「解散ですね 解散ですね」と念を押した姿は今でも思い出される。

野田総理の「前へ進める政治」姿勢を示したが、今の安倍総理の党首討論とは雲泥の差だ。

このような不遇な政局の民主党政権と安倍政権を比較し安倍政権は「他の内閣よりマシ」と国民は判断しているのか。

安倍総理も北の脅威を煽る一方、拉致問題などの解決に日朝会談を要望するなど外交で支持率を稼ぐ手を使っている。

「モリカケ」問題では不公平な行政、国有財産の格安払い下げ、財務省の公文書改ざん、テロなど準備罪での国会運営で支持率を落とすが、「次」が不在のために助かっているのではないか。

中曽根さんの後は竹下さん、小泉さんの後は「安倍さんで良いではないか」と安倍さんに禅譲したが今は安倍総理を批判している。原発再稼働では「反対」に考えが変わったとも言う。

そして安倍さんの後? 見当たらない。非情な政敵潰しが効をそうしているのか。民主政治にとって決して良いことではない。3選を果たしたとしても2021年の総裁選はどうなるのか。

長期政権で褒められることはない。恐らく国内外で厳しい立場におかれるだろう。早くから「死に体」内閣になる可能性がつよい。永田町で7割近くの国会議員が安倍さんから離れていく時は近いのだ。

0 件のコメント: