2021年4月4日日曜日

日米首脳会談(1):菅総理の「行はよいよい、帰りは恐い」と言うことにならないか

 米側の都合で日米首脳会談が一日延びたというが、米時間の16日に決まったという。新聞報道などで日米の置かれている立場を考えると、菅総理にとっては「行はよいよい帰りは恐い」と言う感じではないか。

自民党政権は日米関係の強化、日米安保の堅持で政権基盤を維持している。だから新政権が発足するとまず、訪米し首脳会談を実施するのだが、今年はコロナ禍もあってとりあえずは電話会談で「尖閣に日米安保5条の適用」の言質をとり一安心しただろうが、何といっても首脳会談での共同文書に明記することだ。

オバマ政権の時は、日本政府の強い要望にもかかわらず、最後の最後まで渋った経緯がある。最後は「尖閣も適用範囲」を認めたのだ。それだけオバマ政権は中国に緩い政策をとり、その時の副大統領がバイデンさんだったのだ。

安倍ートランプの友好関係の上に立った外交に代わり、バイデン外交はどうなるか、世界が注目していたのは当然だ。

バイデン外交がはっきりしてくるうちにトランプ外交より対中外交は厳しくなっている。まず新疆ウィグル自治区の人権問題を筆頭に香港、台湾の人権問題にも切り込み、欧州はNATO同盟国、南シナ海、東シナ海は[開かれたインド太平洋地域」として東のNATO構想(?)で対中けん制を実施している。

日米印豪に英国、ドイツ、フランスも加わって米国は中国に対抗しようとしている。中国の「一帯一路」構想に対抗すべく新興国相手に経済支援、安全保障に取り組むという。

一方、中国も黙ってはいない、人権問題でイラン、サウジを味方に付け東南アジアにも触手を伸ばしている。

台湾有事が現実味を帯びてきたようだ。米中紛争の核になりそうだ。米国が「尖閣に安保5条適用」を明言しているのも、その見返りに日本は何が出来るかを問うているのだ。

東シナ海、南シナ海での自衛隊の軍事行動、参加する同盟国の艦船の日本寄港、燃料など物資に補給、そして「集団的自衛権行使」も問題になってくるだろう。

首脳会談で日本側が曖昧な考えだと会談後に実情をすっぱ抜かれるかもしれない。菅総理は帰国後国民にどう説明するか。

人権問題での対中けん制では日本側に「ズレ」があるという。先の新聞で日本側は新疆ウィグル領での人権侵害がどうなのか把握できていないという。だから人権問題に踏み込めないらしい。

一方で、経済では中国は最大の貿易相手国だ。日本の対中政策で中国の機嫌を損ねると「日本製品不買運動」、レアアースなどの輸出禁止は日本の経済にとっては痛手だ。

そこのところを中国が熟知しているから日米関係にくさびを打ち込もうとしている。

安全保障と経済は切り離せないのだ。

米中関係も地球温暖化では同意されているようだ。米国は2050年までに温室効果ガス排出「実質ゼロ」を掲げているが、日本はハードルが高すぎるのだ。日本は石炭火力電の輸出を禁止した。頼みの原発再稼働もおぼつかない。

また、東京オリンピックへバイデン大統領を招待する案もあるという。米国がNOと言うと東京オリンピックは痛手だ。そうでなくても新型コロナウィルスの変種株で感染が拡大している。専門家のシミュレーションでも5月、7月の状況は危険なのだ。

「行はよいよい帰りは恐い」と言った感じか。日米首脳会談を政権浮揚のチャンスにしたいだろうがどうなるか。

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