2021年4月18日日曜日

日米首脳会談を「安倍ートランプ」と「菅ーバイデン」で比較すると

 

今回の菅総理の日米首脳会談に向けての訪米は新型コロナ感染拡大もあって随行員も少なく、日程も短い慌しい会談だったか。安倍前総理はトランプさん就任前から友好関係を築こうと努力した。菅総理も早い時期の訪米を検討していたが諸般の情勢から難しかったようだ。 

安倍、菅両氏の外交の基本は日米同盟の強化であることに違いはない。本来自民党政権は強固な日米同盟の上に立った政権維持だ。 

今回も当然だが、菅政権が力を入れたのは「尖閣への安保5条の適用」だ。共同声明分に記されたことの意義は大きいと言う。オバマ政権のときは日本が要望しているにもかかわらず最後の最後に「尖閣は適用内」の言質を取ったが、トランプ政権は早くから言明していたが文書にはない。 

菅政権の訪米の目的は「尖閣に安保5条適用」を共同声明文書に記すことであったので目的は達成した。 

トランプ政権とバイデン政権の中国に対する姿勢が大きく違ってきた。トランプ政権では中国の覇権主義に警戒していることは確かだが、対中国では貿易問題が大きな課題だった。米国の市場を侵していると、中国製品への関税を高くしたが、中国も高関税で応じ関税の掛けあいになった。その一方で裏では習主席を駆け引きをやっていた。

日本に対する経済問題では日米貿易協定、日米デジタル貿易協定、そして日本に対して貿易投資、雇用への貢献が求められ、安倍政権はそれの答えて250億ドルの投資、5万人の雇用創出で対米NO1の投資国になった。トランプ大統領のYESMANに成り下がったのだ。 

一方、バイデン政権は経済と言うより、人権問題、東シナ海、台湾海峡、インド太平洋の平和と安定が大きなテーマだ。 

新疆ウィグル自治区、台湾、香港の人権侵害、民主化運動への弾圧はバイデン政権に限らず世界の重大問題になってきた。南シナ海、東シナ海での中国の覇権行動に対して日米豪印を始め、イギリス、フランス、ドイツの艦船が行動を起こしている。

米国は、ヨーロッパのNATOに対して中国が批判している東南アジアのNATO構築を目指している。台湾で一触触発でもあれば米軍が行動するだろう。同盟国も動くはずだ。 

尖閣防衛も含め日本はどう行動するか。米軍、同盟国軍に対する物資補給、寄港問題、自衛艦による共同行動、「集団的自衛権行使」をどう処理するつもりか。すでに自衛艦などとの共同訓練は実施されているが、訓練ではなくなるのだ。 

中国の現在の覇権行動は「相手が何もしないだろう」という前提で動いているのではないか。同盟国が強硬路線に出ればある程度引くのではないか。中国を応援するのはロシアだ。しかし国内経済は逼迫、人権問題も含めプーチン政権がどう動くか。北方4島にミサイル基地、軍港化も始まっていると言う。 

バイデン政権が日本を重要視するのは、対中国、対ロシアに対し、駐日米軍の存在はアメリカの前線基地なのだ。しかも「思いやり予算」で経費も安く付いている。トランプさんが「日本を守る」と言っていたが、アメリカが日本を守ったことがあるのか。中国に対するけん制の意味はあるが。 

今回は辺野古にも言及しているが、アメリカのシンクタンクは「辺野古移設は可能性が低い」と論評している。 

北朝鮮に対する拉致問題、核・ミサイル問題は即時解決を言うが、難しい。金正恩氏になってから一向に進展していない。トランプさんは金会談で触れたと言うが相手が動かないのだから難しい。

安倍総理のときは中東問題で緊張緩和、情勢の安定化で日米が協力するといった。安倍総理もアメリカとイランの指導者を仲介するためにイランを訪問したが拒否された。アメリカは最初からうまく行かないと見ていたようだ。 

東京オリンピック、パラリンピック開催のために菅総理の努力を指示するという。 

日本各地で新型ウィルスによる感染が拡大している。主要都市は「まん防止措置」を要望実施に移っているが、中途半端な対応では効果が薄く、緊急事態宣言しかないと専門家は言う。 

菅総理は「大きなうねりになっていない」と言うが、「大きなうねり」とはどういう状況なのか。「開催に前のめり」では冷静な判断が出来ないのではないか。 

今回の菅総理の訪米は支持率向上を掛け、意気揚々と訪米したつもりだろうが、結果は厳しい状況に置かれた。

 

 

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