今、米国の経営者が唱えだした「ステークホールダー(利害関係者)資本主義」は、簡単に言えば、古い日本式経営の復活ではないか。そんな感じがしてならない。明治時代のころの日本はその地域を治める庄屋的存在(地域の産業を推進した林業、酒造など)が大きかった。地域で何かあると費用を出し、地域の雇用を維持、揉め事も解決に導いた。地域の代表的産業が地域の発展に大いに貢献したのだ。
ところが株主第一のアメリカ式経営が導入しだすとその弊害が出てきた。企業が儲かることなら何でもやる。格差拡大、環境問題が出てきた。グローバリゼーションでアメリカ式の経営が世界中にひろがるにつれ社会問題も拡大した。
そんな時、米大統領選の共和党からトランプさんが出てきた。雇用を増やす、寂れた産業城下町を復活させると公約し、泡沫候補から大統領にのし上がった。
経営者からも株主第一主義から従業員、地域の貢献する経営の必要性が唱えられるようになった。それまでは会社利益を最優先に従業員の給料もコストカットし企業利益を上げ、株主に配当してきたのだ。日本の従業員の犠牲の上に立った企業経営と批判が出ていた。
日本の賃上げは驚くことにここ30年間でたったの4%の伸びだという。賃金が伸びないから消費も伸びない。そこで安倍政権時から経済界に賃上げの要求が出された。
岸田政権でも「成長から分配へ」をキャッチフレーズに「新しい資本主義」を公約に出してきた。しかし途中からトーンダウンし、まず成長があってその果実を分配にと言い出した。しかしこれでは効果がない。金融所得課税、税制見直しで最初から分配を促す制sカウが必要と指摘する専門家もいる。
「物を言う株主」も企業経営を監視するのは必要だが、経営者に大きな権限が移っても日産の元社長、ゴーン被告のような経営者が出てきてはまずい。
朝日新聞(2022.3.21)記者解説「みんなの資本主義」は 久しぶりに読み応えのする内容だった。
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