2018年12月10日月曜日

米中経済戦争は「安全保障」に絡む米中戦争の一環か


米中経済戦争は「安全保障」に絡んだ米中戦争の一環だ。一連のトランプ大統領の対中政策は中国の覇権拡大に対する米国の抵抗であり一触即発もいとわぬ今世紀最悪の懸念すべき事態でトランプ大統領の在位中続くのか、それとも両国民が何処まで認めるか。

アルゼンチンでの米中首脳会談で「90日先送りの一時休戦か」と思ったら通信機器最大手の中国のファーウェイの孟・CFOが逮捕された。米国はZTEに続きファーウェイの携帯電話など通信機器の使用を排除しようとしている。中国の軍事、ハイテク分野での覇権阻止に向けての動きだろう。

安全保障と絡め中国政府、軍の機密情報の不法傍受、サイバー攻撃に警戒しての処置なのだ。

アメリカのハイテク技術が盗まれていると言う事で「国防権限法」を制定したが、その背景には「中国製造2025」で外国からのハイテク技術を吸収し2025年までに製造強国を目指す事があるようだが、米国ばかりでなく、日本だって警戒すべきだ。ドイツ、イタリア、オーストラリア、ニュージーランド、英国も同調するらしい。

トランプ大統領は中国が譲歩することを期待していた。その通りの一時休戦だったのだが、その直後に習主席はスエズを訪問、アメリカののど元へ手を差し込んだ。

中国の対米、覇権拡大が今後どうなるのか。

トランプ大統領の「保護主義」「アメリカ第一」は国際会議の場で先進国からも批判され新興国との間でトラブルが起きるとその間隙を縫って中国、ロシアが楔を打ち込んでくる。新興国は先進国に虐められた代わりに中国、ロシアを頼るのだ。

習主席の覇権拡大の1つである「一帯一路」構想は支援先の国が債務負担で危機にある事からアメリカは「インド太平洋インフラ整備」構想で対決することになり日本にも同調を求めている。しかし、日本は板挟みだ。日中首脳会談(?)で「一帯一路」構想に理解を示し日本も参加する意向を伝えたばかりではないか。

宇宙開発、ミサイル開発も力を入れている。無人探査機を打ち上げ月の裏側に着陸させ探査するらしいが、資源開発を狙っているのか。有人宇宙ステーション、独自のGPSサービスも開始しようとしている。

南シナ海の人工島の軍事化も太平洋での覇権拡大だ。アメリカは「自由航行」を謳って艦船を航行させている。

東シナ海での尖閣諸島への領海侵犯、領有権主張も資源の確保、領土問題が絡んでいる。アメリカは安保条約の適用範囲内と日本を擁護する。

しかし余りにもやり過ぎの覇権拡大で中国の長老達が危機感を抱いて習主席を批判しているが汚職問題とも関連し習主席は耳を貸さない。

このまま発展を続けると2030年には中国はアメリカを抜いてGDP世界一になりそうだ。それまでに国際機関への出資金を増やし発言力を強めようとしている。IMFの本部がワシントンから北京に移ることも考えられると専務理事が言っていた。しかし政治体制がこのままでは世界に君臨することは無理だろう。

トランプ大統領が国際会議の場で「保護主義」を主張すると習主席が「自由貿易」を標榜し激突する。米中共に自国の市場を守るためだろうが、実体はどうか。

新聞報道(読売新聞2018.12.9)によると、今回の米中貿易摩擦は、中国は輸出に打撃、米国も原料高騰で事業者も打撃を受けていると言う。

自動車メーカーのGMが米国内の工場を閉鎖し従業員の整理を発表した。大型車に特化するためらしいが、中国からの鉄鋼の価格が関税で値上がりした理由もあるらしい。トランプ大統領は怒り心頭らしい。

両国の経済も見通しは暗い。

アメリカは雇用も改善、減税効果もありGDP成長率も3.5%と潜在成長率の2%を大きく越えてはいるが金利の上昇、対中貿易摩擦の影響で徐々に減速するとみている。90日の一時休戦の後どうなるか。第4弾の関税をかけるとなると中国の痛手は大きいだろう。

一方中国もGDP成長率6.5%、リーマンショック後6.7%で世界経済をけん引してきた事を考えると落ち込んでいるのか。インフラ投資を整理で成長を落としていたが、ここにきて再拡大に移った。実体経済は相当悪いのではないかとみられているが、中国が発表する指標の信頼度を疑う。

喧嘩両成敗となるか。

米中経済戦争を契機にグローバリゼーションの見直しが始まる。米国流はダメでも中国流もダメ、自国勢力拡大の陰謀がある間はグローバリゼーションもとん挫するだろう。貿易とは両国間にメリットがなければ長続きはしない。


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