2018年12月14日金曜日

北方領土交渉:河野外相の「次の質問どうぞ」は安倍政権の窮状を露わに


北方領土交渉に関する外務省記者クラブでの河野外相の「次の質問どうぞ」発言は、今の安倍政権の窮状を露わにしているのではないか。11日のテレビニュースを見ていて「なんだこれは」と疑問に感じた。4回も同じ発言をし、2回はコップの水を飲み、1回は背広のほこりを払う仕草は明らかに質問を嫌っていた。

誰が見ても同じ内容の質問を嫌がっていることはわかる。

よく調べてみると11日のロシアのラブロフ外相の「日本が第二次世界大戦の結果を認めなければ一切議論できない」と発言したことへの大臣の見解を聞きたい質問であった。

最後の「公の場での答えとしては不適切ではないか」という質問に河野外相が「交渉に向けての環境をしっかり整えたい」と本音を言って会見を終わったようだ。

これに先立ち国会での答弁も野党から批判を受けていたが、今回の会見でも最初に「日ロ関係については交渉に資することはないので発言は一切控える」と断っていたようだ。

結局は記者も河野外相も大人げない対応だったのだ。ただ一言「今後の交渉を考えると慎重にせざるを得ず発言を控えさせてほしい」と言えばよかっただけだ。

河野さんは外野ではいいことを言っていた。政権も批判し国民もそれだけの評価はしていた。民主党政権時の「事業仕分け」では自分がやりたかったと残念がっていた。

でも閣僚になると違ってきた。安倍総理の「ごまかし答弁」をまねてきたのだ。記者の背後に国民がいることをわかっていない。

確かに、ロシアとの北方4島返還問題は難しい。一時、エリチンー橋本会談でうまくいきそうに見えたが失敗した。

安倍総理もプーチン大統領とは23回も会談し、ファーストネームで呼び合う仲(?)だったが前回の唐突な「平和条約締結後の2島返還」の日ソ共同宣言の履行を言い出してから様子が変わってきた。共同記者会見でも正式名称で読んでいた。

ロシアは正式な会談の外で外相が曲玉を投げてくる。それが本音なのだ。今回も「第2次世界大戦の結果を認めることが第一歩だ」と言ってきた。

ロシアは終戦のどさくさに紛れて北方4島を不法占拠したと思っているがロシアはその時点ではまだ戦争が続いていたと考えているのだ。

内閣府の北方領土問題に関する世論調査でも「法的根拠がなく占拠を続けていること」を「良く知っている」、「ある程度知っている」が65.5%に上る(読売新聞2018.12.8)。

北方4島の返還は無理だろう。2島が帰ったとしても主権はロシアにあるのではないか。日本の領土を認めるだけだ。米軍が駐留することも極度に嫌っている。日本にやってほしいのは開発資金を出すことぐらいだ。

日本の政権にとって外交で点数を稼ぐのは、北方4島返還と北朝鮮の拉致問題解決だが、どっちも難しい。安倍総理は日朝会談を望んでいるが北が相手にしていない。カネをつぎ込めば会談はできるだろうが解決には至らない。それが日本の外交の姿なのだ。




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