2018年12月5日水曜日

財政健全化:法人税、優遇税制などの見直しで企業も貢献すべきでは

「おねだり」経団連

毎年、我が国の一般会計の話になると気になるのは「財政健全化へ企業はどこまで貢献できるか」だ。健全財政は日本にあって初めて企業の基盤も強固なものになる。少子高齢化でGDP成長も脅かされている現在、国民負担を軽減し、将来の負担を払しょくし、若者たちに良質な労働力の再生産を促すことが企業にとっても必須条件ではないのか。

そのためには法人税や富裕層への優遇税制を見直し税収増へ持っていく必要があるのではないか。政府がそれを考えると自民党支持をいいことに強行に反対、企業が有利な政策をおねだりばかりする経済団体になっていないか。

以前、経済同友会(?)で長年代表幹事をやっていた品田さん(確か)が「おねだりばかりせず、今度は自分たちの出番だ」と発言されたことを覚えている。

新聞報道によると、19年度の当初予算案が100兆円を超えそうだという。18年度の当初予算97.7兆円に3.5兆円プラスαが追加される見通しだという。税収は1990年当時の60兆円を見込んでいる。25年も税収が伸び悩んでいたということか。

18年度を見ると、税収は59.1兆円、税外が4.9兆円、そして国債発行額が33.7兆円で赤字国債だ。

税収59兆円のうちの基幹3税を見ると、所得税19兆円(平成27年度16.4兆円)、法人税12.2兆円(同 11兆円)、消費税17.6兆円(同17.1兆円)だ。法人税は景気の好転、輸出の好調で伸びたというがたったの1兆円ではないか。

確かに日本の税収は所得税に大きく依存しているという通りだが、法人税はこの3年でもあまり伸びていない。景気は良くなっていると言うのだが。法人税下げ、優遇税制など各種税制で大企業は納税を回避する方向に政治を動かしている。

いつぞやの新聞に日本の大企業の納税額が出ていたが、数兆円の売り上げにもかかわらず低い納税額で、自民党政権は大企業の減税の方向で動いている。要求する経団連は「おねだりばかり」だ。そのお返しが自民党への政治献金であり、自民党の集票機関になり下がっている。

企業の税率は確か東京では23.5%程度だったが減税、優遇税制で実態は15%程度か。その代り優遇税制の恩恵を受けない中小企業が頑張って納税しているといわれていた。

しかし、新聞報道では中小企業も19%を15%にする特例が2年間延長されたという。16年度は資本金1億円未満の企業約90万社で1360億円減税されたことになっているという。このほかに外形標準課税もあるがその拡大も先送りされた(読売新聞2018.12.4)。

外形標準課税は石原さんが都知事の時代に大企業は儲かっているのだから自治体の各種行政サービスに対しても必要な経費を分担しろと課税したことがあるが、訴訟に持ち込まれ敗訴した前例がある。あの時は石原さんに拍手したほどだ。

我が国の一般会計の赤字は33兆円だ。予算の1/3に当たる。これを国債で賄っている。日銀が市場から国債を買い入れているので財政ファイナンスなのだが、海外ではあまり口に出して批判はされない。

欧米の先進国では財政赤字を対GDPで3%未満に抑えるルールを採用している。日本でいうとGDP500兆円として3%だから15兆円になる。

それにしても18兆円のオーバーだ。

来年は大阪でG20首脳会議が開催され安倍首相は会議をまとめる立場になる。しかし、我が国の赤字が国、地方合わせて1090兆円、対GDP比245%の先進国一悪い状況だ。中国が255%と言われているが本当かどうか。

こんな状況下で「世界経済を主導していく」と言っても誰が信用するか。先の伊勢志摩サミットでも安倍総理は「世界経済は危機的状態だ」と訴えたが他の首脳は誰も同意しなかった。

それにしても法人税見直しはどこまで可能なのか、企業は財政健全化でどこまで貢献するつもりなのか。

33兆円の赤字に対してどこまで税収が上積できるのか。

法人税、優遇税制の見直し プラス○○兆円
外形標準課税       プラス○○兆円
賃上げなどで所得税    プラス○兆円
消費税10%       プラス○兆円(まともにやれば5兆円)

こんな皮算用はできないだろう。

そうはできなくても赤字をGDPの3%以内に収めるとして15兆円の赤字は仕方ないとして18兆円がどのくらい減額できるか。

そして財政政策諮問会議(?)が指摘した財政健全化にはさらに40兆円の税収増が必要と言う指摘をどうするか。

経済界はおねだりばかりでなく、「それ相応の負担」ができないのか。日本企業の強固な基盤は健全な日本社会に支えれているのだ。



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