2018年12月9日日曜日

このまま安倍政権で良いのか:欧米の混乱を尻目に何故安定に見えるのか

このまま、安倍政権で良いのか。欧米の政治は保守、リベラル、中道そしてポピュリズムの台頭で混乱しているのを尻目に一見安定しているように見えるのは何故か。政治改革の結果が政治の腐敗、権力の集中、小選挙区制度の弊害、更にアベノミクスの失敗、格差拡大が顕著なのに日本国民は騒がない。野党の不甲斐なさもあってかポピュリズムも芽を出さない。

一方、フランスのマクロン政権を見ると、労働市場改革、社会保障の国民負担増、法人税減税と成長戦略をとっていたが軽油課税は低所得者層の経済負担となり大規模なデモに発展、収拾のため課税の先送りをしたが所得格差、都市地方の格差が「黄色いベスト運動」とポピュリズムの台頭に発展、マクロン政権の失墜の危機だ。

でも過去に日本の政治が変わった事はある。93年の日本新党細川代表による連立政権、細川さんの政治資金疑惑、唐突な環境税の導入提案で失敗。94年には政権交代可能な選挙制度への改正で小選挙区比例代表並立制導入、政治資金規正法改正、そして「政権交代してみませんか」のポピュリズム台頭で民主党への政権交代したが、3人の総理就任、短期交代で自民党政権に戻った。

そして今、安倍政権は内閣人事局による官僚人事の把握、小選挙区比例代表制による議員獲得数の片寄り、「モリカケ」問題でも十分説明できない総理、国民の期待度が最下位の憲法改正への前のめり、データ不足の外国人労働者受け入れ法案、そしてアベノミクスの破綻という安倍政権の6年間に更に3年間の延長するという。

日本の政治はどうなっているのか。

自民は保守、野党はリベラルという枠組みは崩れ野党にも保守はいるし、リベラルとはいえない状況にある。立憲民主の枝野さんもリベラルではないと言う。

フランスのマクロン大統領が日本と同じ経済政策をとっているのに国内はテロ、デモ真っ盛りで政権失墜の危機にあるが何故、日本はおとなしいのか。

ドイツも富裕者は保守のCDU,労働者はSPDの枠組みがあったが今は、産業構造が変わり労働者階級の意識が軽薄になったという。日本もそうなって来たのか。若者が自民党支持だ。富裕層でもないのに何故か。要は、安定政権を望んでいるのだ。これではポピュリズムは台頭してこない。

野党第一党の立憲民主に旧民進党議員が結集できないかと「無所属の会」の岡田さんが努力したというが無理のようだ。しかし、大同団結、民主党政権時の悪い印象を払拭する必要があるのだろう。

欧米の政権はどうなっているのか。

フランス・マクロン大統領は厳しい立場だ。エリート大統領で就任時は支持率62%だったが、各種経済成長路線は不人気で燃料課税ではデモ、テロが激化、課税は先延ばしになったが政権は失墜の危険だ。経済改革がポピュリズムを生み出した。

ドイツのメルケル首相は、保守からリベラル重視の政策を執ったが、シリアの難民問題で国民の不満が爆発、2021年に引退を発表した。国際会議で保護主義のトランプ大統領に翻意を促すメルケル首相の報道写真を見るにつけ先進国を代表するリーダーと思っていたが残念だ。

アメリカのトランプ大統領は保護主義、「アメリカ第一」で国際会議の場を混乱させているが米中関税戦争で本当に中国に勝っているのか。関税引き上げの国内成果には疑問が出て来た。GMの工場閉鎖、従業員の首切りはマイナス効果だ。中間選挙では「大勝利」と言ったが、下院では負けた。今後の政権運営にも影響はあるだろう。2年後にトランプ大統領が再選できるかは不透明だ。

中国の習主席も米中貿易戦争では不利だ。覇権主義を謳っているが米国の警戒も厳しくなりトランプ大統領は安全保障問題で通信機器メーカー2社の使用を排除しようとしている。長老との軋轢もあるようだが、アメリカを凌ごうとする政策を進めれば本当に米中戦争に突入だ。経済成長率6.5%で世界経済をけん引しようとしているが、国内経済は停滞へ向かいそうだ。

ロシアのプーチン大統領も国内経済は海外の支援が無ければ難しいようだ。日本と北方4島返還問題を抱えているが経済支援でカネを強要するが4島返還など毛頭ないはずだ。2島返還でも主権はロシアだろう。国際問題で先進国が揉めている間隙を縫って影響力を行使しようとしている。アメリカのトランプ大統領もそこのところは注意すべきだ。

イギリスのメイ首相もEU離脱の手続きで試練に立っている。EUを離脱しても関税の優遇は受けたいようだがEU離脱派が許さないだろう。アイルランドと北アイルランドの国境の線引きも決まっていない。EU問題では政治、経済面で独自性が出せない事に不満を持っている国が多いようだ。ギリシャ、イタリアなどは自主財政政策を希望している。

EUもイギリスの離脱に始まって他国の離脱を恐れている。

隣の国韓国の文大統領の立場は複雑だ。慰安婦問題で日韓関係は最悪、北寄りの政策はトランプ大統領の不信を買っている。アルゼンチンでのG20首脳会議では誰とも挨拶出来なかったという。北朝鮮問題で信用を落としたのだ。

日本の安倍政権も一見安泰なようだが、政策の内容はデモ、テロで揺れるフランス・マクロン大統領と同じなのだ。

日本では野党が体たらくのためにポピュリズムの台頭するチャンスもないのか。

トランプ大統領は気に食わぬ閣僚はツイッターで更迭しているが、安倍総理は閣僚の不祥事が出ても「任命責任」は認めても引責辞任はしない。政権運営に緊張感がないのだ。

その要因は国民の無関心にあるのか。無党派層が40%を超えている。モット政治に不満を露わにすべきではないのか。




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