2018年12月17日月曜日

今日の新聞を読んで(206):米中激突の中での日本の立場?


米中激突の中での日本はどういう立場を取れるのか。米中の間を右往左往する安倍総理の姿がちらつかないか。米中首脳会談でいったん「休戦」、90日間の先送りで習主席が譲歩、トランプ大統領の意向通りになるのかと思っていたが、そうは行きそうにない。90日間で解決どころか米中激突の様相を呈してきた。

米国は安全保障の面からZTEに次いでファーウェイの製品排除、サイバー攻撃防止にかかわる重要テーマを主張してきたが、これは米国ばかりでなく日本も含め多くの国も共通認識を持たなければならない。

アメリカは中国が最先端技術で優位な立場になることを嫌っている。今話題の次世代通信5Gの規格を中国に握られることは屈辱的で、悪意のあるプログラムは相手国を混乱させる危険がある。特に中国は共産主義国、あらゆる手段を使っても世界の機密情報を集めるのはお手の物だろう。

今回、身柄拘束され釈放されたファーウェイの孟・副社長は7つのパスポートを持つなどスパイ行為があったことを否定はできない。

イギリス、カナダ、豪州、ニュージーランドが米国に同調、アメリカは日本にも共同歩調を呼び掛けているという。日本も当然同調すべきだ。

ところが今、日本は中国との関係改善を目指している。安倍総理は一帯一路構想に協力する姿勢を示したがトランプ大統領は遅ればせながらインド太平洋インフラ整備構想を宣言し日本にも参加を求めている。

さぞかし安倍総理は板挟みで大変だろうと思っていたら、そうでもなさそうだ。中国外交を「無害化する」効果を持っているというのだ。

読売新聞(2018.12.7)の「地球を読む」の「インド太平洋構想「自由と法の支配が本質」によると、中国の一帯一路構想は支援先国の財務の悪化など弊害が出てきた。そこをついて安倍総理は「万人に利用でき、透明で公正な調達、相手国の債務の返済可能、財務健全化を損なわない」条件で日本が協力するといったそうだ。中国の有害構想を「無害化した」と言うのだ。

うまいことを言ったようだが習主席の当初の一帯一路構想は覇権拡大、軍事拠点化ではなかったのか。だとするとお互いに不信感を持ったままの構想になる。

米中激突の中で日本の取るべき立場はどうなんか。

領土、国民の安全確保を考えるとアメリカとの安保条約に頼るしかない。日本の領土、領海を侵犯しているのは中国なのだ。日中首脳会談でも尖閣諸島の侵犯はなくならないところを見ると、会談で変わったのは日本を味方につけたいための笑顔での握手ぐらいか。

米中関税闘争では日本も米国と日米経済懇談会が定期的(?)に開催される予定になっているが日本側の責任者である麻生財務大臣の発言で停滞しているともいわれている。アメリカはドル高を嫌い為替操作を禁止する新しいルール為替条項も加えるようだ。

中国は日本などから部品を購入し組み立ててアメリカなどに輸出する経済構造だから関税をかけられれば輸出は減り、日本も影響が出るだろう。直接の対米貿易黒字もあり議題になるだろう。

国際会議の場でのトランプ大統領と安倍総理の関係はどうなるか。

日本は輸出で成り立つ経済だから当然に「自由貿易」擁護で中国も自由貿易を標榜しているが中国とは少し意味合いが異なるのではないか。

来年の大阪サミットで安倍総理はどういうかじ取りをするのか。トランプ大統領が強力に「保護主義」を打ち出すと共同宣言も難しくなる。

さらにアメリカとイギリス、ドイツ、日本など自由主義国の中で考え方が不統一になるとその間隙をぬって中国、ロシアが割り込んで勢力拡大を狙う。トランプ大統領はそこのところがわかっているのか。アメリカのことばかりでなく自由主義国のことも考えた外交をやるべきではないのか。

安倍総理もしっかり国内政治で足場を固めなければならない。自らの疑惑である「モリカケ」問題も説明不足、景気の回復も国民に好況感は出ていない。賃上げ不足は経済成長、出口戦力に大きな影を落としている。財政再建も先進国一悪い状況で世界の経済をけん引できるのか。フランスのマクロン大統領は「財政赤字GDPの3%以内」のEUルールを守れないと信用を落としている。
日本だって「GDP3%以内」のEUルールは守れていない。

他国の首脳も安倍総理の日本国内での評価に関する情報はもって会議に臨んでいる。かっこいい発言だけではついてこない。他国の経済、外交に影響を与えることはできないのだ。

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