2018年12月14日金曜日

今日の新聞を読んで(205):今求められる経営は「従業員、地域社会の利益のため」に


今、求める経営は「従業員、地域社会の利益のため」と言うと資本主義者、企業家の本当の姿は社会主義者の考え方か。朝日新聞(2018.12.13)の「コラムニストの眼」に掲載されたデイビット・レオンハートさんの「強欲な経営者たち 市民に利益を取り戻すには」と言うタイトルの記事が目に止まった。

今の日本の景気は58か月も拡大を続けている。株高、円安、輸出拡大、雇用の改善で景気は回復しているが好況感に乏しい。企業業績は上がっているのに賃金は伸びず成長率も1%だ(読売新聞2018.12.14)。

消費も伸びない要因に「賃上げ」がうまくいっていない。賃上げに企業経営者の姿勢はマチマチ、一方で内部留保は400兆円を超えている。設備投資に備えているのかカネ余りなのか。

設備投資も内需拡大に関連するが金利を低く保っても内需がないためにカネの使い道がない。ある経営者が言ったことがある、「需要があれば借金してでも投資する」と。

そんな時、興味ある上述の記事が朝日新聞に掲載された。

それによると、1944年10月、米フォーチュン誌に掲載された広告会社経営のウィリアム・B・ベントンさんの論文が紹介されている。第二次世界大戦後、米国の繁栄のためには「目標を雇用や生産の創出、高い生活水準、機会の付与だ」と言い、目標達成には企業も労働組合も政府の規制を受け入れ、企業は利益を得るために地域社会の繁栄を犠牲にしないこと、賃上げが必要だ」という。

そして米国経済は大方このような目標に従い従業員や地域社会を大切にしたいとふるまった。CEOの報酬はスズメの涙、中間層の所得は上位層より速いスピードで伸び、所得格差も縮小、企業も経済も急成長した。

ところが、70年代、経営者の唯一の使命は「株主の価値の最大化」、規制緩和、減税、賃下げ、労組のない職場で自分たちへの高い報酬だった。その結果生活水準は低下、恵まれないのだ。その対策としては富裕層への増税、税引き前の収益を企業内で何に使ったかが問題になるという。

このベントンさんの問いかけは、75年後の今も十分に価値のある内容だ。

一方、2020年の米・大統領選に出馬する民主党のエリザベス・ウォーレンさんが「企業は再び従業員や地域社会に対して投資する経済」を訴えている。

取締役会に対して顧客、従業員、地域社会の利益に配慮するよう義務付けようとしている。40年代のような経営に戻らないのであればルールでやるしかないと法案を上院に提出したのだ。

当時の考えを現代に持って来たら「社会主義者」のレッテルを張られるだろうという一方で、米国の資本主義は今、機能していないと言い切った。

全く同感だ。日本はグローバリズムで「良い習慣だった日本的経営」が破壊されてしまった。日本的経営を取り戻し、今必要とされている内需拡大政策に大きく舵切すべきではないか。

企業のもうけを家計や地域に再分配する。そして企業などの法人税下げ、富裕層などの優遇税制の見直し、格差解消、賃上げで経済成長へ。政権も経済団体も一緒に考えていかなければならない。

今、トランプ大統領の「保護主義」「アメリカNO1」が国際舞台で問題になっているがトランプ大統領はさびれた企業城下町、失業者などの救済政策を掲げて民主党に勝った。

トランプ大統領の「保護主義」も米国流グローバリゼーションの見直しの契機になるのではないか。先進国が新興国へ多大な投資をし経済成長に結びつけることがいいのか。米中関税戦争のようにアメリカが大きな赤字を抱え、中国が大きな黒字を得ることが決していいこととは思わない。

グローバリゼーションの波に乗り「良い日本式経営」が崩壊したことも問題がある。

でも成功している国もある。ドイツはベントンさんに近い哲学でかなりの利益を上げ大方成功しているのだという。参考にすべきか。

そして、2年後の米国大統領選には民主党のウォーレンさんが出馬しトランプ大統領との戦いになる。これをきっかけに企業経営者も社会主義的考え方が必要になってくるのではないか。

デイビット・レオンハートさんの眼は大きな示唆に富んでいる。

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