2018年12月24日月曜日

ゴーン被告の行為を善管注意義務、忠実義務に照らして考えるとどうなるか


今回のゴーン被告の行為は民法644条「善管注意義務」、会社法355条「忠実義務」に照らして考えるとどうなるか。会社法では「会社経営に携わる者として、その会社の規模、業務などの元もとで通常期待される程度の注意義務がある」と規定している。取締役としてそれ相当の高度な注意義務が要求されるのだ。

民法でも「善良な管理者の注意を持って委任事務を処理する義務がある」と言う。

会社で言えば取締役には忠実義務、法人で言えば選ばれた役員、もっと分かり易く言えばマンションなどの管理会社には善管注意義務があるが別個のものではないのだ。

それに照らして考えるとゴーン被告は「日産に実質的な損害を与えていない」と主張し役員報酬の虚偽記載(10年~)、自分の投資の損失を日産に付け替えた(08年)疑惑に対して無罪を主張しているがおかしいのではないか。

善管注意義務や忠実義務を考えると、「高額報酬を隠す」、「自らの投資の損失を日産に付け替える」ことを考え、手を付けたときが刑罰成立条件の着手になるのではないか。

「株主や会社に損害をかけても良い、自分さえ良ければいい」と考えたときに株主や会社を裏切ったことになるのだ。

更に自分の悪事を成功させるために人事や制度まで手を付けている事は余りにも酷すぎる。その人達にも嫌疑がかかることを考えなかったのか。実際に今回の疑惑は外国人執行役員の内部通報、司法取引によって明るみになったのだ。その悪事に協力させられた執行役員も「もう限度だ」と悟ったそうだ。

高額報酬の差額の「後払い」も金額が確定したわけではないと主張しているが守銭奴のゴーン被告だから必ず要求するだろうが、その時有価証券に本当の事を記載するか。株主総会で追及されるだろう。

投資の損失付け替えも外部から注意されたと言うことで元に戻したというが、元の戻せば「それでよし」と言うわけにはいかないだろう。

海外で不動産を購入させ、自分の家族に使わせていた不動産取引でもケリー被告の妻が「売却すれば値上がりで儲かっている」と主張していたが、これも変な考え方だ。自分や家族のために不動産を購入させたことが問題なのだ。

あるメデイアの記事が目についた。

リーマンショック後、アメリカのGMが経営不振にかかり米国政府が経営者を探していたとき、ゴーン被告も「自分を後継に」と日産の再建を示して運動していたそうだが米国政府はゴーン被告は「ただのコストカッター」、平常時の経営能力はないと判断し拒否したそうだ。

全くその通りだ。日本はゴーン被告を見る目がなかったのだ。

法曹関係者やジャーナリストには長期拘留、形式犯、実損が発生しているかどうかなどハードルが高いと解説するが、今回のゴーン被告の悪事を「良し」と考えているのか。どうすればこのような「ダメ経営者」を追放できるのか。

日本が馬鹿にされていることを知るべきだ。

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