2018年12月3日月曜日

G20首脳会議:「保護主義」vs「自由貿易」ではなくグローバリゼーションの見直しでは


世界の課題に対して調整不良が続くG20首脳会議だが、「保護主義」vs「自由貿易」の構図になっているが、アメリカ流グローバル化が米国経済を脅かす結果になりトランプ大統領はグローバルゼーションの見直しを迫り、「比較優位」の2国間貿易で調整を始めているのではないか。

G20は世界的課題の解決に責任があると思っていたがトランプ大統領の登場で政治面でもギクシャクしてきた。国際会議はトランプ大統領の「保護主義」に忖度し会議も調整も曖昧な内容になってきた。

今回のアルゼンチンでのG20首脳会議もアメリカの「保護主義」、中国の「自由貿易」の間に日本、欧州が仲介に入る結果になったという。

1年半前のハンブルグG20首脳会議では「不公正な貿易慣行を含む保護主義と闘う」と宣言していたが、11月のAPECでは米中対立で首脳宣言が出せない結果となった。今回のアルゼンチンでのG20首脳会談でもどうなるか危惧する声が大きかったが、米中会談の結果を受けてか、「現在の貿易上の問題に留意する」と記した。「保護主義と闘う」は同意されなかったのだろう。

首脳会議より2国間の個別会談が注目された。特に米中会談の内容を新聞で拾ってみた。

アメリカ側は大成功と言う。中国からの違法流入で米国で違法取引され社会問題化しているフェンタニルを規制薬物に指定、罰則を付けることに中国が同意した。関税第3弾を10%に据え置き25%課税はやめる。農産物、エネルギー、工業品その他米を国が買い入れ、技術移転、知的財産、非関税障害、サイバー攻撃などについての構造的変革交渉を即座に開始することを認めさせた。

中国側では、経済、貿易では前向きな討論、追加関税の停止、すべての上乗せ関税を取り消す方向で協議に入る。国内市場と人民の需要に基づき輸入を拡大、米国との貿易不均衡問題を段階的に改善するという。

米中ともに当たり前のことを協議しているのではないか。

ところが表向きの会談とは別に、一時的休戦状態で問題を先送り、90日で解決などできないとみられている。中国には安全保障、人権問題を抱え、中国はうそつきと見られている。その根拠に南シナ海の人工島の軍事拡張などが挙げられている。だからアメリカは「航行の自由」を訴え艦船の航行を頻繁にやっている。中国に対して不信感を持っているのだ。

一方、中国も合意を反故にすると批判する。

他の米国の2国間外交もトランプ大統領はサウジとは記者殺害事件で、ロシアとは疑惑加熱で会談しなかった。

米中会談での合意事項を見ても特に問題があるのか。当たり前のことで「保護主義」vs「自由貿易」の構図も休戦状態になり様子見と言うことか。

アメリカの中国に対する要求には他国でも影響する課題もあるではないか。

トランプ大統領は米国産業、雇用、安全保障を守るために「保護主義」を強調しているが中国にダメージを与える一方で、アメリカ自体にも影響が出ていることを懸念して一時休戦、中国の出方を見るつもりなのだろう。

トランプ大統領も「アメリカ第一」の「保護主義」をやめてグローバリゼーションの見直しを始めたらどうか。中国流グローバリゼーションである「一帯一路」構想もひずみが目立ってきた。援助国の債務問題は致命的だろう。そこへトランプ大統領は「インド太平洋インフラ整備」構想を打ち出し対抗する。

来年は大阪G0首脳会議だという。

安倍総理は、G20では世界経済の先行きについて懸念が示される時代になったという。安倍総理は「自由貿易」を目指しどうかじ取りするのだろうか。主催国である日本の考えが大きく影響するだろうが、トランプー安倍の友好関係がどうなるか。

来年と言うと、安倍総理は統一地方選、参院選、憲法改正と不利な立場が予想される一方、日本の経済成長は先進国一低い。世界経済の先行きを主導するのであれば経済成長率、出口戦略、消費税増税など国内経済の見通しを立てないと先進国首脳は認めてくれないのではないか。

伊勢湾サミットでは世界経済の危機を訴えていたが他国の首脳は同意しなかった経験もある。

「保護主義」vs「自由貿易」の構図で政治問題まで影響を与えてはいけない。今は「グローバリゼーション」の見直しの時期ではないか。貿易も両国が認め合う内容でないと長続きはしない。


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