2018年12月16日日曜日

後戻り出来ない辺野古土砂投入:「古い民意」が「新しい民意」を駆逐したことが始まりか


平成13年沖縄県知事選で推進派の仲井真さんが
反対派の翁長さんに大敗したが、退任間際に
「辺野古埋め立て」を承認してしまった。
朝日新聞 2018.12.15 「「基地負担
軽減」の曲折の果て」より
遅れると思っていた辺野古への土砂投入が始まり後戻りできない局面になってきたが、そのきっかけは「古い民意」に立つ仲井真元知事が「新しい民意」の翁長前知事に大敗したにもかかわらず、退任間際に「辺野古埋め立て」を承認したことではなかったか。

確か平成13年の沖縄県知事選では辺野古移転を推進する仲井間知事(当時)が反対する翁長さん(前知事)に大敗した。そこまでは良かったが、仲井真さんが退任間際に「辺野古埋め立て」を承認したことが問題なのだ。恐らく政府筋からの強い要求があってのことだろうが、本来であれば新しい翁長知事に判断を託すべきだった。

その時まで進めてきた辺野古移転計画を翁長知事が「NO」と言ったらどうなっていたか。沖縄県民の意向尊重、普天間返還、県外移設はどうなったか。

仲井真さんは、環境保全策を講じれば辺野古埋め立て承認、普天間基地を5年以内に運用停止を約束していた。これが「古い民意」だ。ところが翁長さんは「辺野古反対」でこれが沖縄県民の「新しい民意」だった。

ところが仲井真元知事が「辺野古埋め立て」を承認したことから政府は強引に移転計画を進めてきた。それに対して翁長前知事はあらゆる手を尽くして抵抗に出たが、最高裁からは「承認取り消しは違法」とされ、「承認撤回の手続き」を始めた時に病に倒れた。

続く県知事選でも反対派の玉木デニーさんが自民党推薦の候補者を大きく引き離し当選、政府やアメリカ政府に対応策を要求しているが劣勢のようだ。

あの時、仲井真さんが後を新しい翁長さんに委ねていたら在日米軍のあり方、日本の安全保障の考え方、沖縄への米軍基地の偏在が日本中で議論され、県民投票の意義も上がったのではなかろうか。

自民党政権は、普天間飛行場返還の約束を取り付けたが代替地を県内としていた。政権が民主党に変わり鳩山政権では「最低でも県外」を掲げていたが「学べば学ぶほど県内、辺野古」と言い出した。この時点で沖縄県民の民意は大きく変わったと言う。

日本の安全保障を考えるとアメリカに頼る面が大きい。中国の尖閣諸島で領海侵犯の頻度が上がる中でアメリカの「安保の領域内」という発言は心強さを感じたほどだ。

でも、実体は中東、アジア諸国の紛争へのアメリカの拠点になっているのではないか。日本のためと言うよりアメリカの中東、アジア戦略の一環の方が大きい。

米軍基地があるために日本側の出費も多い。関係なさそうな思いやり予算、中国の脅威のために膨れあがる防衛予算、伸び率をGDPの1%以内と言う枠組みも反故になった。トランプ大統領は「何か言えば直ぐ兵器を買ってくれる」と安倍政権のチョロさを公言している。

埋め立て周辺海域は軟弱地盤で完成後は地盤沈下が予想される。その対策には巨額の投資が必要で計画予算はうなぎ登りだ。

おまけにジュゴンやサンゴの生息地域、5800種の生き物に影響が出る。

完成後はヘリやオスプレイの基地になるらしいが、事故も多発している。まるで事故後の対応訓練をやっているようだ。普天間で危険が去っても辺野古で危険が増える。基地周辺の人口密度の違いを言いたいのだろうか。

緊張緩和で基地も縮小が世界の動きかと思ったがそうはいかない。覇権拡大の中国、領土問題を抱えるロシア、新興国の紛争につけいるロシア、世界紛争の背景には米国vs中国、ロシアの構図がある。

世界の安全を確保すべき国連安保理常任理事国の中国やロシアが紛争の当事者になっているのだからどうしようもない。

アメリカも日本の基地の縮小はしないだろう。

ところで2月の県民投票が実施されたとしてその結果にどう対応するのか。日本の民主政治のあり方が問われる。

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