アメリカ大統領選は私たちの生活に大きな影響がある。選挙権はないがポスト安倍や自民党総裁選より注目だ。
虚言癖がありメデイアを軽視、批判にはッイッターで即反論し支持者を囲い込むポピュリズムだ。米国が損をしていると感じると多国間交渉を嫌い、デイール主体の二国間交渉を好む。オバマ政権時まとめた国際協調路線もトランプ大統領の「保護主義」、「アメリカ第一」で離脱、先進国間でも亀裂が生じるが、その間隙を中国が覇権を拡大、米中貿易摩擦での高関税の掛け合いは世界経済、経済成長の下降リスクを招き各国の中央銀行は金融緩和政策へ景気後退の予防策へ走る。
トランプ大統領の保護主義はアメリカ式の行過ぎたグローバリゼーションを見直す良い機会だと思っていた。衰退する産業、疲弊する町、失業者の増加対策はどの国でも大事な政策だ。政策から疎外された人たちがアメリカ大統領選で泡沫候補だったトランプさんを大統領に押し上げた。
政策の恩恵を受けない貧しい人たちの味方と思っていたが本人は超富裕層で実業家なのだ。政治を変えようと無党派層の支持も大きかったのだろう。
ところが最近のアメリカの世論調査で、トランプ大統領が民主党の指名候補者のバイデンさん、サンダースさんに支持率で差をつけられているという。現職有利と思っていたが、ひょっとすると政権交代の可能性もあるのだ。
でもそのバイデンさんも以前の人種問題発言で同じ民主党指名候補のハリスさんから人種差別攻撃を受け勢いがなくなってきているらしいのだ。バイデンさんも事実を認めたが「憎悪と分断」の泥仕合になっているらしい。
トランプ大統領も先日、民主党の非白人4人に「米国を出て行け」と攻撃したことが報じられたが、それでも聴衆は「国へ送り返せ」と呼応した。トランプ大統領はポピュリズム手法で支持者の取り囲みをしているのだ。
いろんな政策が争われていると思うが、人種問題が支持率に大きく影響するのはアメリカの特異性だろう。
そんな中で朝日寸分(2019.7.27)の読書欄「真実の終わり トランプ時代の深刻な病理問う」というミチコ・カクタニさんの著作を東大教授の西崎先生が評した記事だ。
それによると、トランプ政権が流す嘘は数限りない。なぜ真実と理性とが衰退したのか、なぜ人は政治的操作を受け入れるのかと問う。理性と倫理観、憲法への敬意が攻撃され人種的、宗教的な不寛容や政治への憎悪、陰謀論が勢いづきソーシャルメデイアが擬似事実の拡散に拍車をかける。
自己中心的な「わたし」主義が客観的事実を否定し、主観的原理を称揚につながったが、トランプ大統領はこれをのっとったのだという。つまりいかなる事実も書き換え可能で、反論されると「もう一つの事実」だといえばよいのだ。陰謀論を信じさせるのは簡単なことなのだ。
著者は「真実」こそ民主主義の基盤で一般的に共有できる事実なしに理性的議論はできないという。ではどうすればいいのか。「諦めずにまず抵抗の一歩を踏み出せ」というのだ。
まったく同感だ、トランプ政権ばかりでなく日本の安倍政権にも言えることだ。
安倍政権も結構事実を曲げて嘘をつく。反論すると「もう一つの事実」を主張する。何が事実か分からなくなり、疑って考えることを諦め「他の政権よりマシ」という消去法で安倍政権を支持する。
世論調査でも安倍総理を「政策には不満」だが、「任期一杯やってほしい」という。投票率が低い原因に「どうせ政治は変わらないだろう」と諦め感が根深い。
選挙戦で「前へ進む」か、「後ろに戻る」かの選択と安倍総理は訴えていたが、ここはいったん立ち止まって熟慮すべきときではないのか。
0 件のコメント:
コメントを投稿