2019年7月24日水曜日

「合意なきEU離脱」で混迷する英議会、これが議会制民主主義、二大政党制のモデルか


EU離脱で混迷深める英国議会、これが世界がモデルとする議会制民主主義、二大政党制のイギリス政治なのか。日本からも休みになると大勢の国会議員がイギリスを訪問する。何を学ぼうとしているのかわからないが、日本でも国を二分する憲法改正のための国民投票も待っている。そのやり方、評価は参考になるのではないか。

新聞報道では、「合意なき離脱派」のジョンソン前外相と「合意なき離脱の延期」を主張するハント外相が保守党党首選の決選投票でジョンソン氏が勝利した。メイ首相の辞意を受け新しい首相に任命されるらしい。

思えば3年まえの2016年、EU残留の是非を問う国民投票で残留48.1%、離脱51.9%と言う僅差で離脱が決まった。この時のことは新聞で見てよく覚えている。離脱派が「やってしまった」と反省していた。政府からの情報も不十分、どうせ反対が多いだろうと思って「離脱」に投票してしまったのだ。

何故か、ポピュリズムの機運がイギリスでも高まってくる感じだった。

そもそもイギリスはEU嫌いだった。ドイツ、フランスが中心になりイギリスは消極的だった。EECよりEFTA、ユーロよりポンドだ。

法規制、分担金、移民/難民問題に辟易していたから離脱を選んだのも当然だった。経済面では単一市場を抜けてFTAを結べば利益は従来通りと考えていた。

特に問題は北アイルランドとアイルランドとの国境の管理だった。離脱後もEUに合わせる「非常措置」は党内でも批判があり、離脱の遅れを生みイライラが募っていた。

そんな時、メイ政権の外相を辞任したジョンソンが何かできるのではないかという期待感から新首相に選ばれたが、ジョンソン氏の置かれている立場も厳しい。

保守党が与党とはいえ過半数を割っているので少数政党に頼るしかない。英議会は「合意なき離脱」に反対している。

ジョンソン氏は10月末に議会を停止しようとしているが、議会は議会停止を防ぐ法整備を考えている。それでも「合意なき離脱」を強行するか、早期の総選挙になるか。

保守党内にも反対があり財務相や司法相が辞任の動きだ。

EUもメイ首相との離脱協定案、「非常措置」を協議する可能性があるのか。

米中経済摩擦とともに欧州発の経済危機として世界経済を引っ掻き回すことになるのか。テレビニュースでは日本企業も英国から脱出しているらしい。EU内にも離脱派がいるし、ポピュリズム政党台頭に悩まされている。

ところがジョンソン氏登場にトランプ大統領がエールを送っている。ともに行動の読めない類の人間として共通点があるのだ。ジョンソン氏も議会とギクシャクし、トランプ大統領も議会とギクシャクしている。

イギリスは日本が模範とする議会制民主主義国ではない。反面教師として日本独自の政治体制を築く必要がある。二大政党制も拮抗すれば政権運営が難しくなるが、一方が強すぎると独裁政権になる。

特に憲法改正での国民投票はイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票を検証すべきである。

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