2019年7月9日火曜日

今日の新聞を読んで(273):ポピュリズムによる政権交代の危うさ、日本だって例外ではない


欧州ではギリシャ、イタリアをはじめポピュリズム政党の台頭により国内政治が混乱しているが、実際にポピュリズムにより政権交代をしたものの政権運営がうまくいかず元の状態に戻る危うさを持っている。日本だって例外ではないのだ。

読売新聞(2019.7.9)「大衆迎合 行き詰まりの兆し」に目が留まった。国内財政危機で緊縮財政が強要されたが国民の不満が高まりポピュリウム政党が台頭してきた。政権は取ったものも行き詰まりも早かった。

新聞によるとギリシャでは急進左派連合が財政危機のさなかに緊縮財政を強要するEUに対立し財政緩和を訴え政権についたが緊縮財政への路線転換で人気を失い、今回大幅減税、公共部門の民営化、外国投資の誘致を掲げて選挙選を戦った中道右派「新民主主義党」に政権交代したが、EUなどとの関係が危惧されている。

イタリアでも「五つ星運動」が政権運営のために政治信条が異なるが、政治に手慣れた極右政党の「同盟」と連立を組んだが「同盟」に主導権を握られポピュリズム政党とは異なる政策を推進することになっているようだ。

既成政党に飽きたり、国の財政状況で「財政緩和か緊縮財政か」を選択しなければならなくなった時、ポピュリズムの台頭で現政権に対抗する政権ができるが、政権運営に不慣れもあって行き詰まる状況は容易に想像できる。

欧州ばかりでなく、日本でも1989年の参院選での「マドンナ旋風」で土井たか子さん率いる社会党が躍進したし、1993年の新党ブームで誕生した日本新党、新生党、新党さきがけによる細川政権、1994年の自社さ連立の村山政権、そして9年前の民主党政権もポピュリズムにより誕生した政権だったが、例にもれず短期政権で終わった。

最後はやっぱり政権運営に実績のある自民党と言うことになるのだ。

1989年、リクルート事件や消費税導入で土井たか子さん率いる社会党が大勝した。「マドンナブーム」で「山が動いた」と土井さんは豪語したが、実態は野党の中でも社会党が突出していたため共闘路線の他の党が反発、社会党の平和主義的政策が受け入れられなかった。

1993年、元熊本県知事の細川さん率いる日本新党、自民党の宮澤喜一内閣不信任案提出で自民党から新生党、新党さきがけが分党で「新党ブーム」が到来した。小沢さんが主導する非自民連立政権とした細川政権が誕生した。連立政権だったために政策決定に「与党代表者会議」を設け、選挙制度や消費税などを検討したらしいが他の党と対立、細川さんによる真夜中の環境福祉税発表は連立政権内でも武村さんが反対するなど統制が取れなくなり、細川さんの政治資金疑惑も出てきて細川さんは退陣した。

続く1994年、非自民非共産の自社さ連立政権で村山内閣が発足したが、保守革新では政策も大きく異なっていた。社会党は自衛隊の容認などキーとなる政策の変更で社会党の存在意義が低下、衰退の道をたどることになった。

そして9年前の「政権交代してみませんか」の民主党のキャッチフレーズが国民を動かした。それまでの自民党政権での政官癒着問題、年金問題、自民党政権への飽きが政権交代を促した。

その一つに当時、政権についたときはどういう政策をやるか公約が重要視された。当然に民主党も政策を訴えたが、政権をとってみて初めて財源のない大風呂敷の公約であることがわかり、「事業仕分け」などで官僚に迫ったが成果はなく次第に国民の信頼を失う結果になった。

政局は「いつ解散総選挙か」に加えて3.11東北地方太平洋沖地震とそれに伴う大津波、福島第一原発のメルトダウンと言う大惨事も相まってその対応の不手際もあって民主党政権は信頼を失い。野田政権の時、党首討論で解散総選挙への道ができた。

6年前、自民党・安倍総裁は長い日本経済の不振の中で円高、株安対策としてリフレ派経済の「異次元の金融政策」を提言した途端に市場が反応し、円安、株高に動き、総選挙で圧倒的多数の議席を得、安倍政権は国民の信頼を得る結果になり、アベノミクスを抱え長期政権へとつながっている。

その後、自民党を離れた小池さんが、石原前知事批判、自民党都議連批判で都知事選に挑戦し自民党公認の増田さんを大きく引き離し当選した。勢いに乗って小池新党構想が出てくると泥船状態の民進党から離党者が続出、国会議員が生き残りをかけて小池新党(希望の党)へ移ろうとしたが、小池知事の「選別します」発言で小池知事は信頼を失い、民進党は立憲民主、国民民主などへ分党する結果になった。

日本も国民のポピュリズム、政治家の生き残りをかけたポピュリズムで多くの政党が立ち上がったが、その理念は政策運営の不手際、主導権争いですぐに崩れる結果になった。

さて今回の参院選はどうか。安倍政権の政治手法、森友問題など自らの不祥事、財務省の公文書改ざん、年金問題、消費税増税、憲法改正など政権交代の条件は整っているがその機運はなく自公優勢の選挙情報が伝えられる。

日本の国民は、ポピュリズムによる政変は危険であることを知っているのだ。こんな自民党安倍政権でも安倍総理が言う「安定した政治」と有権者は認めているのか。


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