2019年8月31日土曜日

進まぬ安倍自民の憲法改正:「議論すべき」と「憲法改正」は別問題では


安倍総理が執念を燃やす憲法改正、「9条に自衛隊明記」がなぜか進まない。世論調査では「議論することを期待する」が68%と多数を占めるが、必要と想われる国会の憲法審査会が開催されないのだ。

野党の立場も分かれているが本音は、安倍総理が信じられないのだ。議論しようと憲法審査会に参加するが、議論も詰まないままに何回か開催後に議席数に物を言わせて、安倍自民が両院に「憲法改正の発議」を強行採決することを恐れているのだ。

だから安倍総理の下では憲法改正の審議はできないということになる。

先の参院選で自民党は始めて憲法改正を前面に出し「憲法改正を議論する政党か、議論しない政党か」を選択する選挙だと言い出した。今までの選挙では野党が「憲法改正反対」を争点にに戦ってきたが、逆に自民党は争点を隠し勝利してきた。野党は肩透かしを食らっていたのだ。

選挙結果は2/3は確保できなかったが自民党が勝ったことで「憲法改正の議論を進めろ」と有権者は判断したという。

だから憲法審査会を開いて議論しようというのだ。野党がなかなか同意しないと下村自民党憲法改正推進本部本部長は「議論しないのは職務怠慢」と野党を批判したために硬化し、開催が遠のいた。安倍総理が推進に側近を就任させたことが裏目に出た。

自民党の憲法改正推進本部の陣容がすごい。総勢50人で名の知れた人が含まれているがいわゆる「憲法族」といわれた人はメインからはずされた。

本部長 下村さん 安倍総理の側近だ。

最高顧問 1人、特別顧問1人、顧問12人 二階さん、今まで憲法改正に携わってきた船田さん、石破さん、ポスト安倍に名前が上がっている岸田さん、加藤さんらだ。

本部長代行 中谷さん
 
特別参与 2人

本部長代理 2人 うち新藤さんは筆頭幹事 本部長補佐 萩生田さん

副本部長 13人

事務総長 平沢さん 事務局長 1人 事務局次長4人

幹事13人

以上の体制だ。これでは誰がどういう役目を担っているのか分からない。先ほど萩生田さんが」憲法改正やるのであれば議長も推進をする人に変える」発言をして顰蹙を買ったが、萩生田さんは自民党幹事長代行として発言したのか、憲法改正推進本部の本部長補佐として発言したのか。背後には入閣を希望してのことだったのか。

どういう内容の憲法改正になるのか分からないが、自民党案では自衛隊明記(新条分)、緊急事態対応(新条文)、号区解消、教育改革が挙げられている。

安倍総理が言うように憲法9条に自衛隊を明記すれば「自衛隊違憲論」はなくなるのか。以前の自民党案では国防軍の新設だった。自民党内で整合性されているのか。

さらに憲法学者が指摘していたが、9条に1,2項をのこしたまま自衛隊を明記する改正では法理論として後の法が前の法を駆逐するという考えがあるそうだ。

それによると、9条に自衛隊明記する条文ができると1,2項は効力をなくすことになるらしい。こうなると安倍総理の願ってもないことではないか。

憲法改正の世論調査では「議論することを期待する」68%、「期待しない」24%、「こたえない」8%(平成30年12月17日 読売新聞)。さらにやってほしい政策のトップは雇用や経済で憲法改正は順位が低い。

国民民主は「議論する環境づくり」を主張すれば安倍政権は野党切り崩しにかかる。公明は「急ぐ必要はない」「審査会を開いたからと言って一気に改憲に流れるわけではない」という。

自民党、政権は憲法改正やっていないのは日本だけで、インドは103回、ドイツは62回、アメリカ6回、フランス27回、イタリア15回というパンフレットを配布している。改正の多い国の憲法は「たいしたこともない内容」が含まれているため日本の現憲法はよくできているのだ。

さらにGHQに押し付けられた憲法、独自の憲法制定を主張するが、これにも異論がある。GHQが関与しなかったらこれほどの民主憲法は制定できなかったのだ。引き揚げ船の中で新憲法を見せられて涙した戦争経験者は多い。

現憲法9条戦争放棄も当時の幣原総理が直接マッカーサーに進言したのだ。終戦を迎えこれからの日本が世界によって立つ立場は戦争放棄、軍備の不所持しかなかったという。

ところで、安倍総理は世界に向かってどういう日本を作ろうとしているのか。「新しい国つくり」をしっかり国民に説明すべきである。岸、安倍家の問題ではないのだ。

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