2021年3月1日月曜日

3.11から得た教訓:災害対策と復興に必要なこと?

 

3.11東北地方太平洋沖地震、津波災害から10年、メデイアは東北の復興状況、東京電力福島第一原発事故の原因と当時の民主党政権の対応を検証し、今でも多くの課題を提案している。 

災害直後、復興計画について専門家は被災地は過疎化が進んでいる地域、復興計画には配慮が必要だと指摘していた。復興計画と現在の復興状況を見ると専門家の指摘があたっていたことになる。 

宅地、市街地開発など終わっても人間が戻ってこないのだ。更には防潮堤建設で住民との考えに溝が深い。これじゃ復興計画もなんだったのかと言うことになる。 

(1)まず、過剰な復興計画、費用の無駄使いを避けるためには「あらかじめ復興計画」を作成しておくことではないか。特に過疎化が進む地域では人口動態が重要だ。復興で力を入れる地域、見放す地域を考えておくべきだ。宅地、商業、工業、公共施設、公共交通機関のあり方などがある。 

更に復興予算は往々にしてどんぶり勘定でよく問題になるのが役人の「焼き太り」だ。役人は被災地の復興に関係ない予算を上げてくる。今回も1兆円近い金額が問題になり、返還を要求されているが新聞報道では未だ9000億円が返還されていないという。

あらかじめ復興計画で予算化もしておく必要があるのではないか。中央官庁の役人は「被災地に寄り添う」考えが薄い。

復興での安全対策は防潮堤だが、住民との間に評価が割れている。海が見えなければ仕事に不便なのだ。塀の中で生活しているというのが実感だろう。

(2)政府の対応も問題がたくさんあったようだ。どの政権でも未曽有の災害には対応が後手になる。官庁機能だってうまく動いていなかった。当時は民主党の菅政権だ。被害の拡大は想像を絶した。菅総理は「現場を見なければ安心できない。東電の責任者と話したい」と言う意向で周りの反対を押し切って現場に駆け付け、被害状況を目前にした。

東電の前線本部で対応している責任者らと会談した。当時の清水社長が「従業員を撤退させたい」と提案した時菅総理は「今は踏ん張れ!さもないと東電はつぶれるぞ」と言う意味の発言をしたそうだ。

あの時、事故処理をしている従業員が退避しようものならどんなことになっていたか。放射能汚染で半径250kmにまで移転するかどうかの判断を迫まられていたはずだ。東京はすっぽり入ってしまう。 

事故対応の邪魔になったなどと菅総理は批判を受けていたが、決してそうではないのだ。東電の従業員の退避を認めなかったために多くの人の生活を守ったことになったのだ。

そして、この難局を切り抜けるには政界挙げて対応する必要があると、菅総理は野党の自民党に副総理格、災害担当相としての入閣を打診したが、当時の自民党は「民主党に手を貸すことはない」と拒否したそうだ。なんという了見の狭い自民党だったのか。そんな自民党を今、国民は支持しているのだ。 

菅さんも立憲を代表として予算委員会の質問に立ち、「野党と話し合う必要があるのでは」と菅総理に問うたが、党首討論すらやりたくないのだろう。

(3)東電・福島第一原発事故の原因が未だわかっていないという・各種調査委員会が活動したが、わからないという。要は東電側が本当のことに言及していないためだろう。経営責任を求め旧経営陣の刑事裁判中だ。

驚いたことに新聞報道によると、今になって、ベント配管が途中で途切れて水素爆発したのではないかと見られ、東電の設備不良が明らかになった。当時は散水とベントしなければ危ないと言われていた。

また、近くにあった福島第2原発は被害を回避でき、東北電力の女川原発も被害は出たらしいが、地域住民の避難場所になったという。この違いは何だったのか。福島第2原発は従業員間でオペラビリテイー・スタデイーができていて「次に何が起きるか」を想定し、回避行動をとっていたという。逆に第一原発は右往左往するばかりだったと当時の新聞は伝えていた。

(4)教訓も多い

○政府や自治体が公開する災害情報、ハザードマップ、地震、津波予測をばかにしてはいけない

昨年、政府の地震調査委員会は日本海溝、千島海溝でのM9クラスの巨大地震が切迫しているので注意喚起した。太平洋岸で約30mの津波の危険があるのだ。

東電は当時、15mの津波が襲ってくることを知りながら対策を先延ばしにして今回のような甚大な事故を起こした。経営者の責任は大きい。

○災害情報をしっかり把握することだ。今回は津波高さ情報が実際より低かったことで大丈夫だと判断した住民多かったようだ。過去に大きな津波被害を起こしている地域は「地震だ 逃げろ!」が鉄則だ。津波高さは後でわかること。 

○新聞報道によると「周りを気にせず逃げろ」という。そういう人は助かった。注意すべきは「普段の歩く速度に比べ逃げるときは速度が落ちる」そうだ。だから早めの避難行動が必要になる。 

○災害情報はあらゆるところにある。古地図、都市開発で地名から過去に災害が多く発生した場所? 河川や田んぼ、池などを埋め立てしてできた都市開発? 例えば大阪の方で発生した地震が京都伏見で大きく揺れることがあった。これは淀川を都市開発で一部埋め立てた結果だ。

○これから頻発する集中豪雨などによる洪水被害には注意だ。小さな河川が大きな河川に合流するときのバックウォター現象も注意だ。

(5)国土強靭化も欠かせない。

政府は公共投資の必要性を説くが、予算に制限がある。朽ちた橋、トンネル、護岸など日本のいたるところに存在する。

(6)防災教育

これは大事だ。当時群大の片田先生の防災教育を受けていた学校はそれを実践し成功している。一方、子供を急いで家に送り届けた幼稚園、判断が遅れた小学校では生徒の多数が犠牲になった。 

避難場所の確認、避難経路の確認と訓練。

自治会組織の必要性。

   災害時には私権の制限も必要だ。「公共の福祉」をしっかり教育することだ。そうすれば今回の新型コロナウィルス対策でも役立つ。自分勝手な行為は慎むのだ。

宗教には立派な教えがある。比叡山を開いた最澄は「一隅を照らす」を教えた。国民一人一

人が今、自分の置かれている立場で最善を尽くせ」と言うのだ。それができる国民が「国の

宝」だという。 

今、新型コロナ禍にあって自分は何をしたらよいかを考える国民こそ「国宝」なのだ。緊急

事態宣言が解除になると気が緩み外出、旅行、多人数での飲食を始める。その結果、感染者

数が増加、リバウンドを起こす。 

集中豪雨、首都直下地震、南海トラフ巨大地震、内陸型直下地震日本いたるところで災害は

つきものだ。 

私は東京大田区に住んでいる。災害時の避難場所は多摩川河川敷だ。場所も確認しているが

あの広大な河川敷に自治会、町内会ごとの集まれと言うがどこに行けばいいのか場所がわか

らない。他の自治会の役員の人に聞いても「わからない」という。 

ハザードマップは調べた。浸水の危険がある場所だ。マンションなら上階を選ぶことにな

る。 

近くの公園に防災無線が設置されているが、雨が降ったり、戸を閉めていると聞こえずら

い。何を伝えようとしているのかわからないのだ。新聞で経験談を聞いたら防災無線より昔

ながらの半鐘の方が緊急事態である判断に役立ったという。 

災害の教訓は被害にあった人には役立つだろうが、そうでない人には他人事なのだろう。

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