2021年3月10日水曜日

小さな記事の大きな課題(18):所管事項でも「聞いていなかった」「通告なし」が通用か

 

国会審議で担当大臣が出席しているのに、所管事項でありながら「質問を聞いていなかった」「通告がなかった」ので「答弁できないこと」が通用するのか。何ともにのんびりした予算委員会ではないか。そして担当大臣が8年間も在籍する麻生財務相だ。 

参院予算委員会で無所属議員が「雇用保険の特別会計が厳しくなっている。安定化のために一般会計の投入を」と質問、菅総理の答弁後に、麻生財務相に質問を振った時、麻生さんは「質問を聞いていなかった」「通告がなかった」と答弁を拒否したが、いろいろ嫌味を言った後に菅総理の答弁を支持した。 

何故、こんなことになるのか。以前にもたびたびこういう発言があった。 

以前は、大臣と官庁の担当者が参考人として出席し、質問に対して担当大臣が「チョッ」と答弁し、後は「技術的問題もあるので参考人に答えさせます」と言うシーンが多かった。大臣はいちいち細かいことまで知ってはいない。ミスを犯すと内閣支持率にも影響する。

しかし、こんなことではダメだと自由党か民主党の時に小沢さんが「出席している参考人に答弁させるのをやめて、大臣が答弁する」方式に変わったはずだ。 

担当大臣が答えられなくてどうするということだ。

そこから、ペーパーの棒読みが始まった。国会開催中、ペーパー作成のために国家公務員の過重労働も始まった。すでに知れ渡っていることだ。 

国家公務員の担当者は質問者の質問事項を集め、担当部門で答弁書を作成、部門間で調整し、答弁書案を作成し関係者に配布、調整後に正式な答弁書を大臣、関係部署、官邸に配布、翌朝に大臣にレクチャーする。 

質問者の質問事項の提出が遅れると担当者も大変だ。仕事が終わるのが日付けが変わる頃、タクシー、最終便で帰宅し、翌朝早く役所に出る。 

これじゃ「過労死ライン」を超える勤務だ。

国会が開かれれば大臣とともに参考人として担当の国家公務員が同席し、質問のたびにペーパーの箇所を指さしたり、メモを届ける。 

質問者は地元選挙区対策もあってか、総理の出席を求める。総理に質問したと地元に報告するのだ。だから総理の国会出席は他国に比べて多すぎるらしい。安倍前総理は外交がしたいのだが思うようにできないと嘆く。ひどいときは国会の合間を縫って外交に飛び出す始末だ。 

それでもペーパーの棒読みもできない大臣がいた。法務大臣や防衛大臣についたのだ。皆がわかっているから副大臣が答弁に立ったし、大臣の最後列に座り、周りを参考人が囲んでアドバイスしていた。 

国会審議に真剣さがなくなっている。長い政権で財務相を務める麻生さんには「驕り」がある。 

それにしてもあらかじめ質問事項を通告し、答弁はペーパーの棒読みでは「やらせ国会」ではないか。国会審議の裏で行われている「野党合同のヒアリング」の方が余程面白きないか。

 

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