2021年3月2日火曜日

山田内閣広報官問題などから見える政権中枢の思考方

 

菅総理お気に入りの女性内閣広報官の山田さんの飲食接待問題が国会で審議され注目を集めているが、野党の厳しい攻勢に体調不良を起こし入院、辞職に至った。いつもの逃避行だ。 

事件が明るみに出ても「続投」を支持していた菅総理もここに来て「辞職」を認めたが又、「後手後手」の批判を受ける結果になった。慣れている批判だが、自分の長男が贈収賄事件に絡んでいるために「政権維持」の可能性をギリギリまで判断を遅らせていたのだ。1日の決断の遅れが総理の資質の問題にもなった。

この山田さんの入院、辞職問題は安倍、菅量総理の邪な事情(?)も働いた問題が明らかになり、政権中枢の思考法が分かってきた。 

(1)8年と言う長期の一強政権は、何とかして人気を取り支持率を上げようとする。その良い事例がサプライ人事であう。女性登用政策は安倍政権で広く訴えていた政策だ。まず政権にあっては山田さんを女性で始めて首相秘書官に登用した。総務省に権力を発揮できる当時の菅官房長官が推薦したのではないか。その延長で菅政権になっても山田さんを内閣広報官に据えた。 

「たいした実績も無いのに」と同僚は言っているようだが、女性でしかも総理に担ぎ上げられた人材だったのだ。接待でも「菅総理の長男の存在は関係ない」と言っていたが、逆で大いにあったはずだ。

(2)許認可官庁と先行する民間会社との癒着構造は仕方ないことか。東北新社と総務省の付き合いは、放送法関連での新しい事業を展開するとなると先行する民間の知恵を借らなければならない。だから東北新社との関係は分かるが他の業者と付き合いの差が多き過ぎないか。

   たとえば、原子力発電事業にあたっては東京電力の力を借りすぎた。特に技術的問題では東電抜きには考えられなかった。だから安全性などは東電の考えが採用されたのだ。

(3)不祥事が発生した場合は、官邸はまず「政権にどう影響するか」をまず第一に考える。まずは国会で弁解させて様子を見る。ギリギリまで判断を遅らすので、批判が収まらなければ「ご本人が決めること」と言いながら首を切ることになる。

「口封じ」も必要だから体調不良で入院、最後は辞職させるのだ。

今回の山田さんの事案でもこの常套手段だ。本人から辞職の申し出があったというが、官邸筋からの強要だろう。

(4)不祥事が起きると安倍総理もたびたび言っていたが、「ご本人の決めること」「ご本人の説明責任」と言う。ご本人は「後で説明責任を果たす」と表舞台からしばらく姿を消すが、約束を守った例はない。

   安倍さん自身もモリカケ問題で説明を果たしたか。「私は関与していない」

   と拒んだが、「桜を見る会」その前夜の「夕食会」での政治資金規正法違   

   反事例では嘘のつきっぱなしだったことを謝罪した。それでも自分は関与していないというのだ

   法捜関係者らの市民団体が検察審査会に訴えた。安倍さんが不起訴処分はおかしいと言うのだ。国民の大多数の考えだ。検察は安倍さんだからと怯んでいるのか。

(5)大臣になると親族を大臣秘書官に登用するらしい。自分の跡取りとして教育するのだろうし、人脈を広げるのだろう。でもそれがために行政がゆがめられてはいけない。

山田さんを始め総務省の接待事件は、菅総理の長男が絡んだ事件だ。菅さんは総務大臣のときに長男を秘書官にした。 

制度を見直す機会に出来ないかと思うが、国会議員の利権だから放棄することなど出来ないか。

(6)国民との対話のチャンスでもある記者会見をどうして菅総理は嫌うのか。   

政策やその説明に自信がないからだろう。だから気に入った広報官を据えて嫌いな記者の質問はさえぎる。時間が来たといっては早めに会見を打ち切る。山田さんは忠実の実行したのだ。 

東京オリンピックの開催が背後にある聖火リレーの中止検討を主張した丸山・島根県知事は90分もの長い記者会見を「そろそろ時間です」と言う司会者を振り切っての丁寧な記者会見に「これぞ ザ・記者会見」と褒めちぎったメデイアがあった。

党首討論もやりたがらない。先の予算委員会で民主党政権時総理だった菅さんが質問に立って代表者同士の話し合いを提案したが、拒否したようだ。

(7)メデイアへの圧力をかけ、政権、政策への批判をかわそうとするので 

メデイアは萎縮する。山田さんも関係しているのではないかと見られているのがNHKへの圧力だ。 

菅総理がNHKへ生出演したとき、日本学術会議の新メンバーを6人拒否した問題でMCが執拗に質問したと菅さんが怒った事件がある。NHKはそのMCを更迭するという。山田さんはNHKに電話した記録がないと否定している。

(8)人事権を振りかざす。自分のやりたい政策にはトップを入れ替えてでも

実施する。安倍さんがリフレ派経済で日本経済を立て直そうとしたとき、反対する当時の日銀総裁、白川さんを更迭し、今の黒田総裁にした。 

集団的自衛権行使の閣議決定では、法制局長官を更迭しての強行突破だった。 

菅総理は官房長官時代から内閣人事制度を悪用し、中央官庁に権勢を誇った。政策に反対した官僚は出世コースをはずす人事をやっていたのだ。 

安倍さんは自分の関係する不正行為が検察により捜査されるのを避けるために息のかかった東京高検の黒川検事長の定年延長までして検事総長に据えようとしたが、失敗、黒川さんは賭けマージャンで失職した。

(9)国民の民意を吸い上げにくい官高党底の構図になった。すべて官邸が牛耳るというのだ。

ところが官邸のスタッフも固定化してきた。長期政権になれば弊害も出てくる。元総理の福田さんが指摘していたことだ。 

自業自得になるが、安倍さんは新型コロナ対策で「民意が上がってこない」と嘆けば、菅総理は「情報が極端に少なくなった」という。

民意をくみ上げられない官邸、総理は政策で失敗する。

(10)総理の国会出席が多いのか。安倍さんは国会主席が多く得意の外交が出来ないという。総理の国会出席は質問者の要望次第だ。質問者が地元選挙対策で総理に質問する実績作りに使用しているのではないか。

    逆に総理がきちんとした説明をし国民が納得していないので質問が続くのだ。

政治は誰のためのものか、安倍政権、菅政権で改めて考えさせられる。

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