読売新聞 2021.3.19
日本の原発で稼動しているのは9基(?)、多くの原発が老朽化し廃炉にもなっている。一方で停止中だが再稼動に向けて安全対策に取り組んだり、周辺住民との間で避難計画など安全対策で係争中も原発もある。
又、係争中の事案でも同じ案件で同じ高裁でありながら住民側が敗訴したり、勝訴したり、どこに重点を置くかで真逆な結果になっている。
今日の新聞で東海原発の水戸地裁、伊方原発の広島高裁、そして東電・福島第一原発での安全管理不備が指摘され何が求められているかを考えてみた。
東海第二原発は緊急事態発生のときに周辺住民の避難計画の整備が不十分と判断された。そりゃあそうだろう、30km圏内の周辺住民94万人をどう避難させるかだ。どのルートで、どこへ避難させるか。一企業で出来る問題ではない。地域自治体、住民の協力が必要だ。交通渋滞をどうするか。
又、東海第二原発は新聞報道によると、1978年に運転開始、2011年に停止、33年間稼動したことになるが、防潮堤などの安全対策が2022年に終了するという。そうすると10年という長期に停止していたことになる。
老朽化し、長期に停止していた原発を再稼動して大丈夫か。どこの原発か忘れたが、再稼動して直ぐに「漏れ」が見つかり停止したという例もある。
更に安全対策に3500億円も投資している。再稼動できるかどうか分からないのに巨額の投資にならないか。もちろん投資しなければ再稼動も出来ないが。
避難計画で問題だったのが伊方原発の例もある。半島の先端部分に立地する伊方原発は道路も1本しかない。地震で崩れれば交通止めになる。船で九州に避難するしかないのだ。
その伊方原発で住民の「運転差し止め」の仮処分の決定を同じ高裁が決定を取り消した判決が出た。
争点は原発敷地内2kmの場所に活断層があるかないか。
「ある」と主張している住民側が敗訴したのだ。130km離れた阿蘇山の巨大噴火も可能性が小さいと退けられた。
伊方原発は中央構造線断層帯の近辺にあり、活断層の存在する可能性は高いと思う。切迫しているといわれる南海トラフ巨大地震の震源域の境界にも近いが、30年以内M8~9の発生確率は26%以上と言う。
又、阿蘇山が噴火したときの噴煙、破砕流の影響も受ける可能性が強い。9万年前のカルデラ噴火で出来た阿蘇山だが、企業側は「前兆があれば原子炉を停止する」といえば、専門家は「経験したことではないので前兆を捉らえるのは難しい」とも言う。
どちらの主張が正しいか。
判決ではおかしな判断をしている。危険性の立証責任は住民側にあるという。何ら資金面、情報面でも不利な立場にある住民側に「危険性あり」の立証をさせること自体が無理な話だ。
老朽化した原発に巨額な安全対策を投資し、運転期間を最長20年延ばす政策を取ってまでコストの高い原発、使用済み核燃料の保管、万一事故が発生した倍の甚大な被害を考えると原発に疑問がわく。
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