2021年3月23日火曜日

今日の新聞を読んで(452):国外逃亡犯のゴーン被告の保釈条件はなんだったのか

 

2020年正月だったと思う。元日産会長で会社法違反で起訴されたゴーン被告が「今、レバノンにいる」とメッセージを送ってきたのには驚いたものだ。最も驚いたのは再三の保釈請求でやっと保釈した裁判所と保釈請求を繰り返し、身元引受人になった弘中弁護士ではないか。 

保釈に最後まで抵抗していた東京地検特捜部は「それ見たことか」と言う感じだろう。

当時、メデイアはどうやって誰にも気づかれづに出国できたのか。躍起になって追っかけたものだ。関空からのPJの可能性が出てくると、当日、関空から飛び立ったPJの離陸シーンが映像で紹介された。

ゴーン被告は裁判までの拘留期間の司法の取り扱いに不満タラタラで海外メデイアにも取り扱いのひどさをアピール、日本の専門家の間でも批判が上がっていた。裁判所もそんな状況が負い目になったのだろう。保釈してしまった。 

弘中弁護士も「無罪引受人」という異名を取るほどの敏腕弁護士だ。裁判所も折れたのだろう。 

しかし、ゴーン被告も「一番安全な場所」と言っていたレバノンも経済不振で債務国、富裕層には住みにくい情勢になってきたし、最近は大爆発事故で未だ日産所有で住んでいた邸宅も被害を受けた。 

日本との犯罪人引渡しの協定は結ばれていないので、レバノンが引き渡すつもりはないらしい。日本にとっては経済支援をえさに引渡しを要求することも出来るだろうと見られているが、人生の残りを国外逃亡犯のレッテルを貼られて生きるのが良いのか。 

ゴーン被告の国外逃亡を手助けしたとして米国人のマイケル・テーラーとピーター・テイラー親子が米国で逮捕され、日本に引き渡された。東京地検特捜部は2人を犯人隠避罪で起訴した。 

その取調べ経過がメデイアで報道されている。 

用意周到な計画、PJで関空から出国、トルコ経由でレバノンに入国と言うことになるらしい。レバノンへの入国は合法的だという。日本出国が違法でも。 

ゴーン被告は住んでいる住居から東京のホテルで2人に落ち合い、新幹線で大阪へ、そしてタクシーで関空に向かい、用意されていた楽器を入れるボックスに潜んだという。 

監視カメラにも映り、誰に会うかも申請する必要があったのではないか。でも自由に動き回っているし、直ぐに帰ってこないことに気づかなかったのか。責任を追及された弘中弁護士は「常に見張れるわけではない」と反論したらしい。他の弁護士が取り逃がした弘中弁護士を訴えているらしい。当然の話だ。 

東京のホテルから東京駅に行き、新幹線で大阪へ。新幹線で気づかなかったのは変装し、おかしな行動をしていなかったためか。 

関空では用意された黒いボックスに入った。良くこんな狭い場所に長時間我慢していたのかと感心するが、ゴーン被告自身も「恐かった」と白状していたが、鎮静剤を打っていたともいわれている。 

PJは出国検査が甘いことを調べていたし、関空が最適だったらしい。「X線検査は中にある楽器を壊す恐れがあるので検査しないように」とあらかじめ警告していた。だから検査はパスしたようだ。箱を運んだ4~5人男連中は「中に美人でも入っているのか」と冗談を言いながら運んだそうだ。 

この時点で担当者が「おかしい」と気づき箱を開けていたら、国外逃亡を未然に防いだと評価されただろうが、「当たり前なことをしない」という常識が優先したのか。 

PJはトルコの航空会社所有で会社の幹部が脅迫されていたようだ。イスタンプールからレバノンへ。トルコはこの幹部とパイロットを検挙したという。

この脱出劇にはゴーン被告の妻も関係しているらしい。米国人2人は、ゴーン被告の妻から「日本でひどい目にあっている」といわれ、手助けすることを決心したそうだが、「騙された」と反省しているらしい。訴状事実を認めたという。 

ゴーン被告は1.5億円を支払い、2人は逃亡の費用に使ったといっているらしい。 

ゴーン被告はカリスマ経営者として一時は評価されていた。2年で2兆円の借金を返済したが多くは主力工場の閉鎖や従業員のリストラだ。日本人経営者なら出来なかったことをゴーン被告は出来たという。でもそれは「コストカット」の範疇での成功物語だ。

平常時の経営手腕は未知数だったのだ。2年が過ぎた頃、ゴーン被告はアメリカのGMの立て直しに名乗りを上げたが、米国は経営手腕を疑っていた。望みが叶えられなかったゴーン被告はその後、日産を金づるに悪事、不正行為を繰り返し日産に多大な損害を与え会社法違反が問われている。 

あの時、リストラにあった旧日産社員はどう感じているか。情けないと思っているだろう。最低でも日本で出廷し実情をさらけ出してほしいと思っているはずだ。 

カリスマ経営者と一時は評価されたゴーン被告だが、平時の経営手腕は無いことが分かった。このままで国外逃亡犯、集り経営者として烙印を押され続けるのか。 

今は見直しが必要になったグローバリゼーションだが、日本企業も外人経営者の登用が目立つが、日本型経営が廃れようとしている。ポストコロナで必要になるのは日本的経営手法ではないか。

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