2021年3月31日水曜日

完成遅れるリニア新幹線:問われる存在価値と静岡県民の水問題

 新聞報道によると昨年6月に着工しなければ2027年のリニア新幹線開業は遅れるという。その静岡工区、8.9km 工期7.5年の着工が遅れているのだ。この工区は南アルプストンネル工事で工事により大井川の水量が減るという。流域市町村、農業団体など利水者とJR東海の交渉が遅れているのだ。

以前から言われていたが、リニア新幹線通過県では駅の設置が予定されているが静岡県は非常口と残土置き場が増えるだけでメリットは少ない。一方、水問題は県民生活、産業に大きな影響が出てくる。

新聞報道などを見ると、川勝知事とJR東海の交渉で知事がごねているように見えるが決してそうではない。県民の死活問題をかかえているのだ。次の県知事選で自民よりの知事が出たとしてもその状況に変わりはない。

一方で、原点に立ち返って考えれば東海道新幹線が災害などで運行できなくなった時の代替交通手段になるし、東京ー名古屋ー大阪を1時間で結ぶ7000万人の世界一の都市ができるというのだ。

でも南海トラフ巨大地震などで東海道新幹線が運行できないほどの震災が発生するときはリニア新幹線だって無傷ではない。震災による停電の影響は受けるだろう。乗客の救出をどうしるのか。

予算も大きい。東京―名古屋で5.5兆円、東京―大阪で9兆円、国家的事業だが財投は3兆円で後はJR東海の負担らしい。

でもダイアモンド・オンラインによると、維持運営費3080億円、設備更新費1210億円、年間4290億円かかるらしいが、東海道新幹線のキャッシュフローは約5000億円だとすると大丈夫かと言うことになる。

しかもコロナ禍以来、人出も減り東海道新幹線の収益も落ちる。利益で工事費を賄うことができるのか。

当初計画でも少し無理と思われるが、世界に日本の技術をアピールしたいだけではないのか。

いつまでも県知事とJR東海の交渉がゴタゴタしていてはまずいだろう。最後は一気に強制工事に進む可能性はないのか。

一方私自身には注目すべき点がある。リニア新幹線は中央構造線と直行するらしい。ここには最悪の破砕帯の存在しる。以前、関西電力が黒4ダム建設で作業トンネルを掘削していた時の出水事故はひどいものがあった。当時2年ぐらい工事が遅れたと聞いている。しかし、今は土木工事も技術の進歩もあるのであまり心配はないか。

また、工事を着手したのが難工事が予想される大鹿村地域からだ。ここには中央構造線博物館があり活断層を見ることができる。周辺は地層も脆く私が行った時にはあちこちで山崩れがあった。

作業用の工事が始まった時に地域の人が「地質が脆いので工事の変更」を業者に指摘していたニュースを見た。当然だと思った。最近ネットで様子を見るとあちこちの工事で宇甘崩れが発生していた。

注目すべき工事だ。




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