2022年11月10日木曜日

日銀の量的緩和継続から見直し?:安倍亡き後が修正のチャンスでは

安倍元総理の亡き後、その「縛り」が解け、日銀の量的緩和継続の金融政策が見直されることにならないか。来年4月は黒田総裁の任期が切れる。新総裁人事がチャンスだ。

日銀の主要な仕事は物価の安定で国民生活を守ることではなかったのか。ところが今、円安、物価高で日銀が言う「一時的」とはいえ、中小企業は経営難、国民の生活を圧迫している。何故、日銀は動かないのか。日銀は2~3年先を見通して金融政策を決定しているというが国民は不満だ。

コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻、金利差による円安で輸入原材料、エネルギーの高騰で国内では日常品、生活必需品の値上げ が続く。

黒田総裁は「国民は物価高容認」と言う意味の発言をし、批判が殺到すると謝罪して撤回した。

賃上げを伴う理想的は物価2%上昇が一定期間確保できるまで異次元の量的緩和を継続し、押し下げられる経済を下支えするという。海外の中央銀行はインフレ対策で量的緩和縮小、「利上げ」に踏み切ったため、日本円との金利差が生じ、円安が進む。黒田総裁は「円安はプラス」と言うが、ただ「急激な為替変動の円安はデメリット」という。政府はFRBとの協調は期待できず、単独で為替介入を実施した。

果たして日銀は何を考えているのか。

折しも、東京新聞(2022.11.4)、「こちら特報部」(2022.11.6)そして朝日新聞(2022.11.10)オピニオン&フォーラム「異次元の金融緩和10年」で元日銀の理事たちが内情を解説してくれた記事が目に止まった。

元理事たちも安倍政権時のアベノミクスの金融政策について堂々と問題視してきたのではないか。否、もともと無理な金融政策だったのだ。

民主党・野田政権と自民党・安倍総裁とで衆院選が闘われた。その時の争点は円高、株安だった。自民党の若い候補者まで「市場にカネを流せば円安になる」そんなことがわからないのかと民主党政権を批判した。

しかしその時の日銀・白川総裁は量的緩和を進めていたが、急激な緩和ではなかった。更に物価上昇率もとりあえず1%を目指し、達成すると次を目指すという姿勢だった。

異次元の量的緩和は主流派経済学者は懐疑的でバカノミクスとバカにされていたが、日銀の元理事たちは「実験的政策」を考えていたらしい。だとすると、10年経っても成果が上がらないので修正すべきだったが、推進者の安倍元首相の「縛り」があったのだろう。

今回の新聞記事で分かること。

(1)2%の物価目標が現実的でなかった。今まで長い間経験したことのない目標値だったのだ。元から達成不可能だったのだ。

(2)デフレが問題になったがその要因に考え方の違いがあった。 デフレを日本経済の停滞の原因と考えるリフレ派は物価を挙げれば経済は上向くと考えたが、主流派は結果だとみる。

(3)何故、成果が出ない量的緩和を見直さなかったのか。それは8年と言う安倍長期政権のためだった。

(4)政策決定会議も、積極的議論はなかった。委員はリフレ派でしめられているので他の   議論が出なかったのだ。

(5)日銀の政策は常に2~3年さきをかんがえている。だから現状の不満はとどかないの だ。「国民は値上げ容認」論も日銀内では蔓延っていたのか。

(6)しかし、利上げなどによる副作用は常に考えられていたらしい。財政規律の緩み、市 場のゼロ金利慣れはリスク感覚のマヒを招く。国、地方の借金はすでに1000兆円を超え、対GDP比は250%と先進国一悪い。

このまま異次元の量的緩和を継続するわけにはいかない。出口に向けての見直しは、黒田辞任、新総裁の選出時期だろう。

新聞では予測人事が出ている。岸田総理は政策委員の任期終了による新人事でリフレ派以外の経済人を送り込んだ。新総裁には中曽氏、雨宮氏、他に現開発銀行総裁、その他女性の名前も挙がっている。

安倍元総理亡き後、縛りも取れたのだから活発な議論で今後の金融政策に取り組んでほしい。




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