2022年11月21日月曜日

経済対策で補正予算29兆円の是非:ケインズの財政出動かシュンペーターの「イノベーション」か

 

岸田政権は日本経済好転のために補正予算に29兆円計上した。これに対して朝日新聞(2022.11.20)は社説でGDPギャップ15兆円を考えても29兆円は規模が大きすぎないか。余計な借金は次世代の子供の負担になると正論を吐いている。 

当然の意見だ。今必要なのはケインズの「財政出動」か、シュンペーターの「イノベーション」か、ということにならないか。 

日本経済の実態はどうなんだ。物価上昇は3.6%だが一時の状況なのか、賃金の上昇が伴っていない。日銀の低金利政策で米国との金利差で円安が進み為替介入して140円台まで持っていったが、何のことはない米国のインフレ状況から利上げのペースが緩むと見ると140円台で推移。 

コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻で物価高など国民生活は厳しくなり、生活支援や企業支援で財政出動するために赤字が積み上がり1000兆円を超え、対GDP比250%、財政破綻のアルゼンチンよりひどい状況らしい。 

そして29兆円と言う財政出動だ。需給ギャップが15兆円、それに昨年度のギャップと差10兆円を加算した25兆円が財務省から提示されたが、岸田政権は満足せず、さらに3兆円以上を上乗せ29兆円にしたのだ。

補正予算規模で岸田政権は人気取りを図っていないか。「まず規模ありき」といわれても仕方ない。

どうしても景気刺激は財政出動だ。ケインズの「一般理論」に沿った経済対策といえば格好はつくが、逆の政府介入は企業の「イノベーション」を阻害するとシュンペーターは言うのだ。

シュンペーターは公共投資を優先するケインズ革命に批判的で民間企業の創意工夫を重視する経済学者だ。 

「技術や資本設備が一定」の条件下ではケインズの説も成り立つかもしれないが、シュンペーターはこの条件が間違っている。企業はこの条件を「イノベーション」で改革することを提唱しているのだ。 

しかし、日本の経営者は財政出動に頼る。経団連も「お願い団体」とも揶揄されている。だから政権も財政出動だ。財政出動し景気が好転し税収が増えれば赤字は解消されるがそうは行かない。 

経済政策の流れはケインズ→サミュエルソンの流れか、シュンペーター→ドラッがーの流れか。 

朝日新聞・社説「余滴」は、ケインズは「良かれ悪しかれ危険となるものは既得権益ではなく観念だ」という。不況時による失業を防ぐケインズの「観念」が後世に悪用される。皮肉なことではないかと締めくくっている。

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