東日本大震災、福島第一原発事故から9年半、避難指示区域の一部解除、避難住民の帰還は2022年春、新聞報道では工業団地などの整備が進み10月には町の産業交流センターのオープンも予定されているという。
しかし、被災地直後の復興計画で専門家が「被災地は過疎化地域、復興には留意を」と警告していたが、案の定復興計画は進むが人が戻ってこないのだ。
5兆円も掛けて除染作業、インフラ整備を進めるが避難指示が解除されたのは225ヘクタール、町のたったの5%らしい。7100人いた住民も4割が県外へ避難、暮らしも定着したらしく住民の意識調査では「双葉には戻らない」が60%だったという。
復興計画が進んでも人が戻ってこないのだ。この現象はあらゆるところで出てきている。
15mの津波で甚大な被害を被った地域では高台造成で開発事業が進み町の再生を目論んだが住民は高台に住み、商業施設は低地で夜は寂しい街になった。
140万トンの汚染土の保管、福島第一原発での放射性汚染水の問題は政府の決断も鈍い。保管場所の確保も難しい。福島第一原発から出る放射性汚染水の保管場所確保で後2年が限界らしい。原子力委員会は基準値以下で海洋投棄を推奨するが漁民の反対、風評被害で海洋投棄が出来ない状態が続く今も、毎日180トンが出ているという。
海外で稼動している原発も基準値以下での海洋投棄が常識になっているが日本では難しい。
科学的判断も通用しない政治不信が原因ではないか。
安倍総理はオリンピック誘致に向け「アンダーコントロール」というし、「東北復興無くして日本経済の再生なし」と最優先課題であることをアピールするが本音か。
自民党が下野したとき、民主党・菅総理が「副総理格、復興担当」で自民党に内閣参加を打診したときに自民党は「民主党に手を貸すことはない」と拒否したそうだ。それが政権に返り咲くと事あるごとに東北の被災地を視察し取り組みをアピールする。
復興にかかわる費用は国民全員から徴収するということで私たちにも復興税でいくらかの課税がされているのだ。それが大風呂敷で現実に合わない復興計画、未執行予算が問題になっている。
今回の東北地方太平洋沖地震、津波被害で多くの教訓を得た。
先人の教訓を生かせなかった。ある地域に住む人は「これより下に家を作るな」という碑があり、守った人は助かり、無視した人は被害にあった。
被災地は将来の過疎地域、過剰な復興は避けるべきだという専門家の警告を無視した復興計画は人が集まらない。
寺田寅彦博士も言う。被害を受けた直後は安全な高台へ生活基盤を移すが、年数がたつにしたがって痛みを忘れ、便利な低地開発を進め再び被害にあう。歴史は繰り返されるのだ。
「住民に寄り添う」といえば厳しい政治決断は出来ないが、先送りは出来ない政治決断だ。期待されている菅さんで決断できるか。
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