2020年9月24日木曜日

企業トップの安全責任:東電の保安規定に限らず全企業で必要では

 原子力や交通機関など巨大技術で事業を展開している企業では経営トップの安全責任(安全配慮義務)は必須で、東電の保安規定に限らない。一度事故を起こすと取り返しのつかない事態になることはJR西日本宝塚線脱線事故、3.11東北地方太平洋沖地震、津波災害を見れば歴然としている。

この種の事故では現場の管理者、直接の担当者が責任を負い、肝心の経営者は責任を逃れている。経営トップには日常業務として安全確保義務がないのだ。東電福島第一原発事故でも旧経営陣4人が強制起訴され裁判中だが無罪を主張している。経営トップに安全配慮義務を問う規定がないのだ。

だから一向に事故が後を絶たない。経営トップは事故後記者会見するも自己責任については言及せず、責任が及ぶことを避けるのだ。万一自分に責任があるとなると会社全体の責任になるからだ。

「あれだけの大事故を起こした東電に柏崎刈羽原発の6,7号基を再稼働させる資格があるか」、当然の疑問が出てくる。

審査する原子力規制委員会は保安規定に「社長はトップとして原子力安全の責任を担う」など7項目を保安規定に明記し違反すれば運転停止命令ができるようにし審査を終わろうとしている。

東電としては経営も悪化し原発再稼働は経営改善に向けてこの規定を丸呑みせざるを得なかったという。

ところが柏崎市、刈羽村は再稼働に同意しているが、新潟県は「3つの検証」が必要として同意していない。この中に福島第一原発の事故原因究明が含まれているのだ。いまだ尾を引いているのだ。近隣市町村は再稼働による交付金が必要なのだ。

福島第一原発事故は、政府が15mの津波の危険性を公表し、若手技術者がシミュレーションの結果、防波壁の増強を提案したが上層部で検討があいまいになり対策しないままに巨大地震、津波が来襲したのだ。

結果は非常用電源の確保ができずメルトダウンで甚大な被害を被った。いまだ帰郷できない人も多い。

あの時若手技術者のシミュレーションを信用し対策を取っていればどうなったかわからないが被害の軽減にはなっただろう。経営トップのどの程度まで話が行き、どう判断されたのか。

経営トップに安全責任が規定されていれば躊躇なく責任追及できたし、日常の業務として安全に配慮していれば未然に防止できた事故かもしれない。

いかなる企業であっても経営トップに安全配慮義務を求めるべきだ。



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