朝日新聞本社世論調査(2020.9.4)を見て驚いた。安倍政権はよかったのか。思うに、第1次安倍政権時の辞任は唐突で「政権放り出し」と非難された。安倍さんも二度と繰り返したくない。
今回の辞任劇は周到に用意された感じだ。度重なる検査通院は体調の悪さ、持病の再発をうかがわせ、辞任時の記者会見では喫緊の課題である新型コロナウィルスでは「対策パッケージ」を用意し最後まで「やる気のあるところ」を見せつけた。
これが功を奏して「継承」→「菅支持」の流れを作ってしまったのだ。誰でもそうだが病気などでの散り際は同情を買い、評価を上げるのだ。「安倍ロス」発言まで出てきた。メデイアによると側近連中は「続投宣言」の原稿を作成していたが安倍さん自ら「辞任表明」となったようだ。
世論調査によると、自民党の政党支持率は40%、過去から35%は維持していた。野党の合流が紆余曲折していた結果、立憲民主、国民民主の支持率は低調だ。
安倍政権の評価も71%と高い。経済政策、外交,安保が評価を得ている。新型コロナでアベノミクスの成果も一遍に吹っ飛んだ格好だが不思議に株価はコロナ以前の水準を維持している。しかし、安倍さん自身に起因する「負の遺産」がどう評価されたのか。新型コロナ対策での生活支援政策の右往左往をどう評価したのか。逆に岸田さんの評価を落としているのか。
安倍政権の元での政治への信頼度が高くなったかという設問では「高くなったが18%、低いが21%」、変わらないが59%だ。
安倍総理夫妻による不祥事「モリカケ問題」、自らの後援会活動での政治資金規正法違反疑惑の「桜を見る会」「夕食会」、民主政治の根幹を揺るがす公文書偽造事件、規制緩和では自らの人脈に利権を売る行為、一部では評価されているが「集団的自衛権行使」の閣議解釈、その他恣意的な政権運営は国民にとっては大した問題ではなかったのか。
新型コロナ対策での指導力は「発揮」41%、「発揮していない」49%だ。この辺になると官邸官僚よりも首相側近の意見に耳を傾けるようになりアベノマスクで揶揄され、生活支援策では30万円給付が突如一律10万円支給に変わった。自民党、公明党のトップが動いたのだ。
このころ安倍さんは「民意が官邸に上がってこない」と言い出した。岸田さんが強調しているように安倍さんには「聞く力」が欠けていたのだ。
都知事選を前に「やってる姿」をアピールしたかった小池さんに官邸が振り回されてことも響いている。
「なんとなく安倍政権はよかったのではないか」という空気が蔓延し引きつないだ方がいいのではないかということになり「安倍政権の継承」を訴える菅さんへの支持が38%で変革も必要とする石破さん、岸田さんを圧倒する結果になった。
次に首相に求めるものはリーダーシップ37%、公正さ32%だ。
安倍さんにリーダーシップがあったのか。一強長期政権を築いたが、政敵崩しで恐怖のリーダーシップではなかったか。新型コロナ対策では安倍さんのリーダーシップは見えなかった。逆に官邸内は主導権争いだ。菅さんにリーダーシップがあるのか。菅さんだって権力を握っての恐怖からのリーダーシップだ。
「公正さ」は石破さん、岸田さんに求めることができるだろう。しかし今の自民党は私利私欲で動く政治集団化された。自民党議員は自分が利権を得るために菅支持に動いているように見える。
無派閥で長でもない菅さんが5派の支持を得てどんな党役員人事、内閣改造人事を断行できるのか。期待に反した連中が造反することは十分に考えられる。無派閥、50人の構成員ではコントロールも難しいだろう。
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