2020年9月26日土曜日

今日の新聞を読んで(395):対中国、政治強権だがマネー、巨大市場は魅力か

 

先進国、新興国を問わず中国マネー、巨大市場に期待してきたが、一帯一路構想での債務のわな、米国との覇権争い、そして中国を震源とする新型コロナウィルスで状況は一転、政治体制への不満が湧き出したが、輸出国では中国の巨大市場を無視することは出来ないのだ。

米国vs中国、トランプ大統領vs習主席のバトルは国連総会で新型コロナウィルスの感染拡大防止での罵り合いになってきた。習主席は自国第一主義を批判し中国の多国間主義を強調する。一昔前と逆の発言だ。 

この米国vs中国の構図が世界各国の対中国への外交、経済対策に大きく影響している。 

日本の菅総理が25日、習主席と電話会談したという。アメリカと対立する中国は日本に期待する面も安倍政権のときにはあったが、菅政権ではどうか。継承することになるらしいが、日本国民ですら分からない。だから中国だってそうだろう。 

自民党には二階幹事長という親中派が幅を利かしている。岸田前政調会長がまとめた中国対策を二階さんが一蹴した経緯もある。アメリカも親中派を警戒している。 

対中国というと、まず公船によるたび重なる領海侵犯事件だ。2022年までに領有実績を作りたいらしいが中国の領土、領海意識は執拗だ。トップ会談をやっても改善しない。 

そして新型コロナウィルスで延期になっている習主席の国賓待遇での訪日だろう。自民党の保守派は中止勧告しているが政府は「日程を調整する段階ではない」と特にやり取りは無かったという。 

民主党政権時は小沢さんや最近では二階さんは多くの政治家や経営者を引き連れて訪中、習主席とツーショットの写真を取らせている。新聞報道では2015年に習主席は経済関係者の多くを連れて訪英、投資や貿易を協議した例もあるらしい。

安倍政権時、新型コロナウィルスが発生したが、ギリギリまで延期の判断が送れ、中国からの訪日客の入国制限も出来ず感染者拡大の要因にもなった。 

中国はウィグル族など国内の人権問題、香港の民主化への弾圧問題など多くの人権問題を抱え世界から批判されてもいる。そんなときに習主席国賓待遇での訪日は世界から顰蹙を買うだろう。本音は中国からの中止提案を待っているのかもしれないが、中国としてはこのカードを手放すことはないだろう。 

中国を震源とする新型コロナウィルスが発生しても中国の巨大市場、安い労賃による世界の工場としての価値は見逃せない。 

コロナウィルスでサプライチェーンを寸断され国内生産に障害が出てきて中国から東南アジアに生産拠点を移したところもあるらしい。一部は生産設備の国内回帰も言われたがどうだろうか。 

新興国のみならず、先進国も政治体制の違いにもかかわらず、中国マネー、巨大市場には魅力を感じている。 

G7の一員であるイタリアが中国の一帯一路構想に参加し港湾施設に投資したのには驚いた。これを機にフランスやイギリスが警戒を始めたという。

他の新興国も経済発展のために港湾施設の建設に中国マネーや中国技術を採用したが、結果は軍港化、債務のわなにはまり港湾施設付近を数十年も中国に貸す羽目になっている。ギリシャも35年間埠頭経営を認めたという。

以前新聞に出ていたことだが、東南アジアのある国で鉄道建設を日本が中心になり計画していたが、突然中国に変わったという。中国融資条件が良かったらしい。しかし工事が途中で頓挫したために再び日本が工事を担当することになったことがある。失敗の原因は日本が計画した内容をそのまま採用したことで工事の内容をしっかり把握していなかったようだ。

ドイツのメルケル首相は「インド太平洋指針」で中国に対するけん制を色濃くしたというが、ドイツも中国に対する考えが変わったようだ。中国は当初、経済関係を進化させていけば西側モデルに収斂していくだろうと西側諸国は考えていたのだが中国は競争相手になってしまったのだ。 

しかし、ドイツも輸出では中国依存の経済大国なのだ。新聞報道によると米国は中国経済との分離路線を進めている。ファーウェイを5G 整備から排除するように世界の求めイギリス、フランスは受け入れたがドイツはまだ決めていないようだ。 

対中対応は先進国でもアメリカ追随国もあれば独自の道を選ぶ国もある。世界経済を取り巻く事情は複雑だ。

 

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