2019年10月6日日曜日

関電原発マネー還流疑惑(3):組織のトップの行状をチェックする体制が組織内では不能なのだ


企業や組織のトップの不正などの行状を監視する組織内体制は不能ではないかと思わせる今回の関電「原発マネー」還流疑惑だ。

コンプライアンス、ガバナンスの強化が声高に叫ばれているが、関電の疑惑はご他聞にもれず組織トップがかかわる行状をチェックする組織内体制が不能であることが分かった。

社内調査に続き第三者委員会の調査は実施したが正式な会議には報告せず、記者会見の発表も「小出し」で疑問が噴出し、記者会見のやり直しになった。その結果、あきれ返る事実が明るみになり、恥ずかしすぎる実態に説明する社長の顔も困惑気味だ。

思えば、組織のトップがかかわる不正行為に対する監視はどの組織もうまく動いていないことは関電の今回の疑惑で明らかになった。原発事業を展開している電力会社ではどこでもある事例ではないか。経産省は関電で幕引きをしようとしているが他の電力会社にも波及しそうだ。隠すとバレた時の衝撃は大きい。

経営トップは責任を追及されると「見直し改善することが私の責任」と言って辞任を回避しようとするが、不正をやったトップが何故、不正防止の対策を取れるのか。手口を知っているという強みがあるのか。

一番の問題は組織の権力者となると役職の任命権者であり、会議の運用に責任を持つ。

取締役会の議長は社長だ。自分たちの不利な議案を会議に出すことなどしないし、部下も忖度し控える。

監査役、社外取締役も任命権はトップが握っている。不利益なことなどいえるはずがない(組織と一歩距離を置いた人材は別だが)。

コンプライアンスやガバナンスの担当部門も地位的に言えばトップに物申すことなどできない。

社内体制において組織のトップに歯向かう人間などいない。

弁護士を含む第三者委員会が曲者だ。弁護士が含まれているということで調査も公平、公正にされたと期待するが大間違いだ。弁護士は依頼者の要望にこたえ報酬を得ることを仕事にしている人種だ。

いつもいえるのは「捜査権がないので調査にも限界がある」と常套句を言い責任逃れをする。

今回の関電疑惑で大株主の大阪市が橋本さんを第三者委員会のメンバーに送り込むという。松井大阪市長がコメントしていたが、見ものか。

日産ゴーン元会長の不正報酬疑惑を日産の第三者委員会は「経営者特有の不正」と断じた。ゴーン元会長は報酬不正をするために自らの息のかかった人材を役員として協力させ、手続き上は合法と見せかけた。公判でも「違法なことなしていない」と主張するらしい。

度重なる悪事に耐えかねて役員の一人が司法取引で告発した。後処理に奔走していたかに見えた西川前社長も「不正に手を貸した」ということで辞任に追い込まれた。日産社内のコンプライアンス強化の一環としての成果なのか。

自動車メーカーで明らかになった品質不正問題も社長は「知らなかった」「報告はなかった」という。

東電の経営者3人に対する業務上過失致死傷における裁判はどうか。経営者の15.7mの津波の来襲の予見可能性があったかどうかが争われているが、経営トップ3人は会議で報告も受けていたが、信頼性に疑問を呈して無罪を訴えている。この場合は経営トップの資質の問題だ。

組織のトップはいろんな権力闘争を乗り越えてその座に着いた。組織を私物化せず公正、公明は運用など期待できない。


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