2019年10月10日木曜日

吉野彰さん ノーベル化学賞:企業内研究者として研究開発のコーデイネーターとしての成果か


いつ受賞するか、15~16年の間関係者が待ち望んだリチウムイオン電池開発の吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞した。「おめでとうございます」。吉野さんは企業内研究者のいい面を出して研究開発のコーデイネーターとしての成果と言えないか。

新聞報道を見ると、その開発にいろんな研究者、企業が関係していることがわかる。

受賞した3人の功績は大きい。ジョン・グッドイナフさん(97歳)はコバルト酸リチウムで高い電圧を発生させる方法を開発しリチウムイオン電池の出発点になった。ここで東芝の水野さんも共同研究者だった。2人目のスタンリー・ウィッテインガムさんは金属リチウムを使う形の2次電池を考案していた。リチウムイオン電池の開発者だ。

そして3人目が旭化成で充電池の開発をしていた吉野彰さんだ。吉野さんは各研究者の利点を生かして正極に金属リチウムの代わりにコバルト酸ナトリウム、陰極に特殊な炭素繊維を使用し小型化に成功、85年にリチウムイオン電池の原型を作った。

3人同時受賞は当然で、一人の研究が欠けてもリチウムイオン電池は成功しなかったか、開発が遅れていただろう。

このほかに日本企業が開発した技術、素材が採用されている。どれをとってみても大事な技術だ。これらを重ね合わすコーデイアネーターとしての吉野さんの功績は大きい。

また、吉野さんの博士論文を審査した大阪大の吉野先生も「素晴らしい内容」と認めていた。大きな一歩になっただろう。

驚くのはリチウムイオン電池の出発点になったというジョン・グッドイナフさんが97歳での受賞だ。何故、もっと早く受賞できなかったのか。推薦する関係者がここまで評価できなかったのだろう。

私はいつも偉大な「研究の発端は何だったのか」、「どんなひらめきがあったのか」に興味を持ってみているが、今回の吉野さんにもエピソードがあったのだ。

新聞報道によると、1981年研究に着手した翌年の1982年の年の瀬に研究室の大掃除が終わってほっとしていた時に机の上に積みおいていた資料が目に止まったという。それがグッドナイフさんの1980年の論文でコバルト酸リチウムを正極に使う研究だった。

テレビインタビューで研究者の部屋を見ることがあるが、大方の研究者は机の上に乱雑(?)に資料が山積になっている光景を見るが、最近目についた興味ある資料(研究論文)はきちんと整理せずいつ目に届いてもいいような整理(?)をすべきなのだ。

棚に整理したり、パソコンに保管することも考えられるが、考えものだ。

このリチウムイオン電池の将来は洋々たるものがあるようだ。今でも各方面に利用されているが、環境問題の解決に役立つ。電気自動車の普及は当然で、電気も原発や火力発電に頼らず太陽光発電、風力発電の電力をためることでCO2排出量を減らす解決策にもなる。

数年前に提案されているスマートハウス、スマートシテイ―の構築にも有用だ。各家庭が太陽光発電し、リチウムイオン電池で蓄電し家庭の電力の供給を可能にする。

電気自動車で思い出すのは2009年、三菱自動車が電気自動車が「iMiEV
」を量産したことだ。三菱自動車がビッグカメラと提携しビッグカメラでも販売するというのだ。京浜東北線に乗っていた時、ビッグカメラの有楽町店に電気自動車が展示されているのを見て翌日店に行ってみたら、展示がされていなかった。

店員に聞くと昨日一日のイベントだったようだ。「車の販売はいろんなことがあって大変ではないか」と聞くと、最初はお客さんを三菱自動車に紹介することから始めるという。

ついに自動車も電気製品になり量販店で販売するときが来るのかと思っていたが、10年たってもその兆しはない。電気製品ではないのだ。

電気自動車は災害などで停電した時に、家庭に電気を供給することもできる。すでに前からモーターショーなどでは紹介されていた。そのブースの近くでソニーが発電機の紹介をしていた。電気自動車は数百万円だが発電機15万円だ。ソニーの担当者と「こちらの方が断然安いのではないか」と笑ったことがある。

我が家も、車の買い替え時期が来ている。車として、災害対策としてどうするかよく検討してみたい。



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