朝日新聞(2019.10.25)の経済気象台「経営の目的は社員の幸せに」は時を得た内容であり賞賛すべきだ。グローバリゼーションで米国式経営がもてはやされ従来の日本式経営が消え失せ、社員の犠牲の上に立って企業が収益を上げ、経営者が評価される構造が始まったが、今に来てそういう経営が見直される時が来た。
米国経済界は「株主第一から従業員のため、地域に貢献する」経営へシフトする宣言をした。これを聞いて私は「従来の日本式経営が見なおされる時が来た」と感じた。
その経済気象台の筆者は中小企業の経営者と思われるが、リーマンショック後の経営困難な時代に「みんなの生活を保障する。リストラはしない。給与は減らさない。賞与は昨年並み、ローンを組んでいる人も安心をしてくれ」と社員を前に宣言した結果、社員と信頼関係を築き社員は精一杯能力を発揮してくれた結果、10年後の今、売り上げ、社員数は10倍になったという。
「大事なのは経営者と社員がそれぞれの役割と責任を果たすこと」そして「働く喜び、やりがいが人生を豊かにする」と説く。
大企業では今も、数千人の削減、事業所削減、さらには海外企業への身売り話が多い中で卓越した意見である。
私もあるテレビで中小企業の経営者が「他の会社では落ちこぼれと言われた人間がわが会社では重要な存在になっている」と笑顔でインタビューに答えていたのを思い出す。
アメリカナイズされた経営で見た目は繁栄していると思われる経営者も日本の将来をどう築こうとしているのか。少子高齢化に向かい、優秀な人材を確保できなければ企業も成り立たない。そこを外国人労働者で賄おうとする安易な考えでは先行き不安になる。
安倍政権の政策は大企業、富裕層を優遇税制でもてなし、一般国民には負担を強要し社会保障制度維持、国の借金で将来不安は払しょくできない。税制見直しが必要な時に来ているが、経済界はさらなる減税を要求、消費税増税に反省だ。
そんな時、トランプ大統領の「保護主義」「アメリカ第一」がポピュリズムを扇動し欧州をはじめ米国でも大統領選を控え民主党でも左派が台頭してきた。その動きを警戒し、米国経済界は「脱株主第一」を宣言し、「従業員のため、地域のため」に貢献する企業経営を宣言したのだ。
私は、今は影が薄くなった良き日本式経営の復活の時が来たと感じた。
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2019.8.20掲載
米経済界が「脱株主第一主義」;日本型経営が見なおされる時が来たか
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