2019年10月30日水曜日

安倍政権崩壊は中盤か:長期政権の人材不足、政策行き詰まりの危険信号


安倍政権の崩壊も中盤に差し掛かったか。長期政権の維持に必要な閣僚人材も政治資金規正法の基本も知らずに辞任した菅原前経産相や河野防衛大臣、萩生田文科相の失言に始まり政策も行き詰まり感が出てきた。明らかな危険信号だ。

レームダックを回避するために今まで実績として連勝だった衆議院解散総選挙という手もある。ご執心の憲法改正を争点に選挙に打って出ることも考えられるが、自民党内にも異論続出、伊吹前衆院議長に至っては憲法改正は国会の発議が必要で安倍総理が憲法改正を掲げて衆院選挙をするのは憲法違反と言いだした。

長期政権になると内閣改造のたびに閣僚の人材確保が大変だが、今回の改造で任命した人材に問題が多い。菅原さんの後任に梶山さんが任命されたが、梶山さんは茨城県知事選で確か選挙違反の疑惑が出ていたのではないか。国民に人気の高い(?)小泉さんを環境相に登用したが、政策の疎さをさらけ出し人気失墜だ。

いずれも菅官房長官の推薦だったようだが、ポスト安倍で最近頭角が出てきたが面白く思っていない人間も多く、信用失墜は安倍政権を支えてきた一角が崩れることになる。

それに河野防衛相、萩生田文科相の失言が続く。例によって謝罪撤回するが、安倍政権の閣僚の慢心から出てきた発言だ。

被災者や受験生を蔑ろにした発言と受け止められても仕方ない。こういう連中が安倍政権を支えているのだ。

一方、政策でも行き詰まっている。

得意の外交も改善がない。アメリカのトランプ大統領頼りの外交では対米交渉で国益を害している。日米貿易交渉でも肝心な点で両政府に見解の相違が見られ、今国会での審議が注目だ。日本政府はウィンウィンと言っているが、アメリカは優位と見ている。

北方4島返還もプーチン大統領の平和条約後に2島返還の曲玉に会い4島返還がおかしくなって来た。ロシアは返還などあり得ないというが安倍総理はプーチン大統領との1vs1交渉で何を約束しているのか。

中国は相変わらずの尖閣諸島領海領空侵犯を繰り返している。首脳会談を持っても一向に改善できず中国の脅威は日本の漁民の生活さえ脅かす。政府も中国の脅威を煽り国土防衛のために軍拡競争に走る。

対韓国は危険な状況になって来た。日米韓の安全保障にも影響が出てきたのだ。日本は徴用工問題で「国際ルールを守れ」と言うが、韓国の文政権は日本の譲歩を要求する。韓国が譲歩しない限り改善は見えないのではないか。

経済ではアベノミクスの破たんという見方が強くなって来た。景気は「緩やかに回復」で税収もそれなりに増えたが、社会保障制度維持など確固たる財源は消費税しかなく今回10%へ増税した。安倍政権はこれで2回の増税だ。

強力な政権でないと国民が嫌う政策を実施できないというが、今回2回にわたる増税が将来どう評価されるか。増税してつぶれた政権もあるのだ。

物価上昇2%目標が経済運営に大きく足かせになって来た。異次元の量的緩和策をいつまで続けるのか。世界経済の下降リスクを迎え他の中央銀行も「利下げ」と同時に量的緩和策を再開してきた。日銀は金融政策の正常化への策に遅れているが、これでメンツを保ったのか。

それでもいつまでも量的緩和は続かない。マイナス金利政策も銀行経営悪化と言う副作用も出てきた。安倍総理は「私の任期中にめどをつける」と国会で答弁していたが、日銀・黒田総裁に任せている。信頼しているというだけで自分では何の見通しも持っていないようだ。

市場にカネを流しても今の企業は無借金経営がい多く、低金利のカネを期待していないという。

財政再建も喫緊の課題だが、財政出動も課題で、特に自然災害が多く甚大な被害が出てきた今、国土強靭化での財政出動も必要になって来た。それでも1000兆円を超える対GDP比200%の借金は将来に対する不安でもある。社会保障制度維持も含めて国民の不安を払しょくしなければ財布のひもは固く、消費は伸びない。

社会保障改革は今回の経済財政諮問会議でも民間議員の提言を受け政府も取り組むらしい。安倍総理は「ペースを上げろ」と発破をかけたようだ。

憲法改正は安倍総理が先頭に立ちすぎて審議が進まないという。何をしでかすかわからない安倍政権にとって、国会審議へ参加すると強行採決するかもしれないと野党は警戒しているのだ。

今では2020年に拘らないというが、そもそも計画が雑だったのだ。自民党内では安倍総理が先頭に立ったことが審議停滞の要因と言われて安倍総理は不愉快感を隠ぜなかった。世論調査でも「憲法改正の審議入り」には50%の国民が賛成なのだ。

憲法改正の回数がゼロであることを自民党は改正の口実にし、改正の多い欧州4か国を視察したが、それぞれの国で事情が違うらしく、自民党の策略は不発に終わったらしい。

続く自然災害で国の対応の後手が指摘されている。各閣僚が被災地を視察しパフォーマンスを見せつけているが被災者は「後手後手」と批判する。今後は国土強靭化で公共投資が増えるだろうが、その是非の検討も必要だ。

防衛強化での軍拡で防衛費は増える一方だが、役立つ装備なのか。イージス艦、イージスアショア、F35などの導入で防衛費は5兆円を超えるが、イージスアショアを設置するはずだった秋田県が設置反対で参院選でも反対派の候補者が勝利した。資料の不備もわかって再検討が必要になった。

一方、北朝鮮の核ミサイル開発は経済制裁を受けながらも進んでいる。発射は日本を脅かしているが、米国本土への危険が迫っている。

日朝首脳会談を前提なしで開催を希望しているが北は問題にしていないようだ。

対メデイア対応は目に余る威嚇行為だ。官邸がメデイアの報道に目を光らせ、政権批判にクレームをつけることで番組のMC、ディレクターの交代する事態まで発展した。古くはTBSの夕方の情報番組の田キャスターが米の北ベトナム攻撃の実態を報道した時、アメリカからクレームが付き降板する羽目になった。学生時代のことだったがひどいことをするものだと感じた。

健全な批判があって初めて民主政治は成り立っているのだが、これではだめだ。今の日本のメデイア、政権も同じ状況にあるのではないか。それに内閣人事局で中央官僚の人事が牛耳られている。官僚主導でなく政治主導の人事に改善する制度だったが、安倍政権は悪用し忖度政治を強いるようになった。民主政治の破壊だ。

閣僚人事にせよ、政策にせよ安倍政権の行き先は崩壊しかないのではないか。


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