2019年10月5日土曜日

何故、安倍政権は長期政権なのか


伊藤博文、吉田茂、桂太郎、佐藤栄作など実績を上げた名だたる政治家を差し置いて安倍総理が総理在位日数の記録を作ったという。何故だ。

これといった言葉もなく、たまたま第2次政権発足直前、世界市場は日本の円高、株安へ手を伸ばそうとしていた時期にタイミングよく異次元の金融緩和で市場にカネを流すことにより長期停滞で悩んでいた日本経済の再生に成功したかに見えた。

繰り出す安倍政権の経済、金融政策をレーガノミクスにちなんで(?)アベノミクスと称し金融緩和策を第一の矢、従来からの経済政策、成長戦略を第2、第3の矢とし毛利家の家訓である「3本の矢」に因み、分かりやすい形での政策を国民に示した。何かしら成功しそうに思えた。

一方、野党の「民主党は?」というと3年間の失政(?)で国民の信頼を失い長期間這い上がれず、分党、解党で所属議員は生き残りをかけ右往左往し、やっと今、旧民進党である立憲民主、国民民主が統一会派を結成できたが依然内部は揉め事が絶えない。

それを面白おかしくメデイアが報道するし、安倍総理ときたらことあるごとに「あの悪夢のような民主党政権・・」と皮肉られても旧民主党の連中は反論できない。

外交を見ると、野田政権時に尖閣諸島を国有化したことから中国が態度を硬化させ領海侵犯を繰り返す。韓国は竹島を占領し基地を造る。北朝鮮の拉致問題も安倍総理は「金委員長と向き合う」というが北は解決済みを主張する。

従来の政権は腫れ物に触る対応で相手国に付込まれ、日本は何をしても何もできないという先入観が相手国の暴走を誘う。

そこに安倍政権は強い姿勢で臨もうとする。対中では尖閣諸島は安保条約の効力の範囲内とアメリカ政府に言わしめた。これは日本の安全、領土の保全に大きな効果がある。民主党政権ではアメリカと距離を置いていたが、自民党政権、特に安倍政権はアメリカ大統領と友好関係を築く。

内政にあっては激しい権力闘争をやっているのだろう。麻生さん、菅さんを政権の柱として長期政権の基盤にし、ポスト安倍として力をつけてきた人材、政権を脅かそうな人材はつぶしにかかる。石破さんは干され、岸田さんは長く外相で閣内に取り込んだ。

出る杭は打つ手法で背後から球が飛んでくるのを回避し、恐怖政治をかもし出した。今の自民党で安倍さんに歯向かう人間はいない。

そろそろ任期も気になりだしたのか。ポスト安倍が見つからないのでは後継者育成で批判が出る。総理を退いても院政をしきたいのであれば禅譲を期待する岸田さんだろう。最近接近しているという。

打ち出す政策も専門家も指摘するように成果がなければ何の説明もなく次の政策を打ち出す。どうせ政策は官僚が作る。ただ、経産省か財務省かで政策も変わってくる。そこに目新しさをアピールする。

今までの弱体政権あるいは政治倫理観を持っている政権に比し、お友達のために便宜をはかり森友、加計学園問題のように首相自らの不祥事を起こし憲政史上まれに見る総理でもある。

それでも国民は「他の内閣に比べマシ」という一方で、「安倍は信用できない」言うが、「任期一杯やってほしい」とも言う。支離滅裂な国民の安倍政権を見る目だ。

読売新聞(2019.10.5)の橋本五郎さんの「福沢は何故敗れたか」の記事の中に福沢諭吉のことばとして「国政の変遷は自然の勢いにして、政事の主義に絶対至善のものを見ず。ただそのときの時勢に従い治安を維持して人文を妨げざれば之を目して良政府と称す可きのみ」という。

なぜか分かる気がする。長期政権でしかも「新しい国創り」というのだからしっかり監視していく必要がある。国民もさることながらメデイアの役目は大きい。

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2019.10.4掲載
今日の新聞を読んで(296):安倍政権の実績なしでも「4選」あるのか
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