2019年10月10日木曜日

相変わらずの日米貿易交渉:ウィンーウィンと言っても協定文で2通りの解釈ができるとは


7日、日米貿易交渉が署名された。安倍総理はじめ政府はウィンウィンの出来栄えを主張するが、いつものことながら日米の間で協定文の表現で2通りの解釈ができ「更なる交渉」で日本が不利になりそうだ。

問題は乗用車と自動車車部品の関税撤廃の箇所で、日本側は「さらなる交渉による関税撤廃」とは将来関税の撤廃が約束されていると解釈しているが、米国側は「自動車と自動車部品の関税撤廃については今後さらなる交渉次第である」と交渉の余地が残っていると解釈している。

大きな違いではないか。新聞にその個所の英文が載っていたが、素人にはどちらでもよさそうだが、どうして原案を作成した時にアメリカ側の考え方をしっかり確認していなかったのか。「更なる交渉」と言うのでその交渉がなければいいとでも思っていたのか。

日米貿易協定を見ると、2段階の審議が記されている。第一段階は物品に限り、第二段階で他の貿易、投資の事項となっている。これも来年1月の発効から4か月以内に交渉分野を協議するというのだ。これじゃ、アメリカ側の言う通りではないか。

日本の輸出する自動車への追加関税は当面回避されたことを安倍総理は電話でトランプ大統領に直接確認もしたという。でも業界は引き続き協議に警戒している。

トランプの外交交渉は、事務方が合意しても最後はトランプ大統領の鶴の一声で変わってしまうし、交渉事がトランプ大統領の思うように運ばないとツイッターでクレームをつけ「更なる交渉」に引きずり込まれるのだ。

それに、WTOの「加盟国間で差別をしない」というルールがあるらしいが、貿易量ベースでいうと日本側は84%の関税撤廃だが、アメリカ側は92%を目標にしているが、70%になる場合もあるらしい。これがWTOのルールに反するということなのか。

私達は、安倍総理がウィンウィンの関係で解決したと言いたいところだろうが、ここはしっかり確認すべきだ。国会審議が始まるがどう野党の質問に政府が答えてくるか。

悪い例では、TPPの国会審議の時に、担当大臣だった人に変えて何も知らない石原さんが担当大臣になり、国会審議に当たった。野党は交渉経過を質問してきたが、説明したくない政府は「交渉事で相手もあることなので詳細はコメントできない」の一点張りで説明を拒否した。「提出したTPP案について質問してくれ」と言うことだった。

野党は繰り返し質問するが政府は逃げの一手だった。今回もその手が使えるのではないか。

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