2020年4月7日火曜日

新型コロナウィルスと福島第一原発:2つの「国難」の共通点、時の政権の対応をみる


新型コロナウィルスの感染拡大が1週間で2倍、東京は6日の新感染者数が100人を切り83人になったが、感染経路不明者が73人と90%を占めるに至っては誰だって危機に感じる。

安倍総理は緊急事態宣言に慎重だったが、感染拡大が止まらず、医療体制も破たんが想定されることから「人と人の接触を避ける」ためにも宣言の覚悟ができたようだ。諮問会議に諮り対策本部で基本的方針を決め7日に宣言するという。

東京都をはじめ、医師会、専門家会議のメンバーからも早期の緊急事態宣言を叫ばれていたが、政権にとっては経済とのバランスが必要だ。東京はじめ首都圏での宣言は政治、経済で損失が大きい。当然に「遅すぎる」批判は避けられない。

でも思うに、今回の新型コロナウィルス感染と東電・福島第一原発の2つの「国難」にあった時の時の政権の行動を比較すると、安倍総理は「あの悪夢のような民主党政権」というがお互いに笑えない状況なのだ。

未曽有の東北地方太平洋沖地震とそれに伴う15mを超える巨大津波で東電・福島第一原発は非常電源が確保できず原子炉の冷却不能でメルトダウンを起こした。

当時の民主党・菅総理はまず現場の様子がわからないことから自衛隊ヘリコプターで現場の状況と現地対策本部で激励(?)した。この行為が批判されたのだ。現場が対応で混乱している時に、「何故国のトップが行くのだ」と。総理が行くことによって現場はそれに対応しなけらばならず、「邪魔になったのだ」という。

総理は東京で情報を集め対応すべきだったという。でも総理にしてみれば自分の目で現場の状況を確かめたいのは当然だ。当時の野党だった自民党はどういう行動をとったのか。

メルトダウンした原子炉を冷却するためのいろんな努力がされたが、最後は自衛隊による空中からの冷却水の散水だったが、効果はなかった。初期対応がうまくいかなかったようだ。

今回の新型コロナウィルスでは震源地の中国からの入国を制限すべきだったが、安倍政権は初動ミスを犯した。その背景には4月の習主席の国賓待遇での訪日があったことは確かだ。中国からの入国を制限すると習主席の訪日が不可能になるのだ。

その他の国からの入国制限が遅れたのは、訪日客の激減、東京オリンピックが背景にあったのだろう。

福島第一原発事故では大変なことに放射能汚染地域からの住民の避難が必要にあった。その決断も菅政権で遅れを取ったようだ。近くには病院もあり患者の移送も必要になった。おまけに避難路が放射能汚染されているところを通過しなければならなかった。

確か、ドイツの研究機関が公表したシミュレ―ションでそのことが確認できた。
我が国でも同じシミュレーションがあったようだが何故か、政府は隠したのだ。

新型コロナウィルスではダイヤモンドプリンス号での感染拡大防止策がされた。隔離したというのだが、神戸大の教授の視察(?)では「不完全」と指摘されたが、その動画が消された。おそらく政府から圧力がかかったのだろう。後になってこの教授の意見が正しかったのだ。

ダイヤモンドプリンスでの隔離対策が海外から批判を受け、政府は14日間の経過観察から陰性者の下船を決めた。疫学的調査と言うよりも政治的決断だった。外国人がシャーター機で帰国したが、下船したものから陽性者が出た。

安倍総理は感染の広がりに唐突にも「小中高一斉休校」「外出自粛」の要請を出したのは良かったが、あまりにも批判が大きく、関連分野で対応の問題を残したまま中途半端にも「解除」「部分的解除」をしたために「自粛に緩み」が出てしまった。その後の換算拡大の要因になったのか。

福島第一原発では周辺の放射能度が高い地域の除染が始まった。汚染土などはフレコンに入れ一時保管されていたが、永久保管の場所が未だ決まっていない。先の台風被害など集中豪雨などで汚染土の袋が流出する事故まで起きている。

ところが、安倍政権は聖火リレーの通過場所から汚染土堆積物を隠すためにどこかに移動したのだ。

新型コロナウィルスでは安倍政権は入国制限を拡大し、14日間の経過観察期間を置いた。アメリカは日本国内にいるアメリカ人の帰国を要請した。日本では感染が拡大、医療機関も破たんするためだろうが、アメリカだって日本より状況は悪くないか。

それでも安倍総理は東京オリンピックが中止になることだけは回避しようとIOCに1年間の延期を働きかけ、延期が決まった。政権としては面目を保ったのだろうが、「新型コロナに打ち勝って・オリンピック開催」など誰が想像しているか。一方では「長期戦になる」と言っている。

安倍政権は危機管理に長けているというが、それは安倍総理自身の不祥事に蓋をするためであって国民のための国難に対する危機管理は成っていなかったのだ。

菅直人さんは市民運動家出身だ。職業政治家とはちょっと違った。

福島第一原発の事故対応を国挙げて対応しようと当時野党だった自民党に副総理格、事故対応担当相としての入閣を働きかけたが、自民党は「民主党に手を貸すことはない」と提案を蹴った。しかし今、安倍総理は事あるごとに福島の被災地を尋ね復興に力を入れている姿勢を示すが、本当にやらなければならなかったのは当時、菅総理の要求を受け入れて対応すべきではなかたのか。

その自民党の了見の狭さが、新型コロナウィルス対応でも出てきている。

安倍総理も旧民主党政権のことを笑っていられない。「あの悪夢のような自民党政権」と言われることは必至だ。

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