2021年10月12日火曜日

財政健全化と財政出動:財務省と政権、どちらの言い分が正しいか

 新聞報道によると、財務省の矢野事務次官が今、政権、与野党が主張する財政政策を「ばら撒き合戦」と評したことから批判が集中、岸田総理は「クギを刺し」、松野官房長官は「私的な意見」、高市さんは「大変失礼な話」とまちまちなコメントをする。 

財政健全化と財政出動は政権、与野党と財務省に大きな溝があることは今に始まったことではない。だからこそ、今の国、地方を合わせた借金は1066兆円、GDPの200%を超える。米国、中国だって100%以下のはずだ。 

おまけに麻生前財務大臣、鈴木現財務大臣も発言を承認していると言うから何やら「麻生vs岸田」のきな臭さがないか。 

野党は「消費税を5%に下げろ」と言う。「3党合意」の増税のはずだがどうしたことか。確かに今税収は30兆円弱を考えると、岸田政権がコロナ対策で数十兆円を支出すると言うから消費税を落とすことは消費を伸ばすことになり効果はあるか。

岸田総理は「数十兆円の経済支援」のほかに「再分配」と軸とする新しい資本主義経済を総裁選でとなえ、金融所得課税強化を打ち出したが、政権発足直後に株下落ショックで国会審議では先送りのトーンダウンとなった。 

一方、高市さんは「PB黒字化を凍結し財政出動」を訴える。何やら米国初のMMT理論の主張のようだ。しかしMMT理論は財務省は勿論、専門家は否定する。 

PB黒字化は時の政権は必ず論じるが、先送りが先行し2025年(?)だって8~9兆円の不足と言うではないか。どの政権も責任を持ってのPB発言ではない。 

ところで借金が増えると、信用が落ち国債下落、株や為替に悪影響が出る。金利も上がり国際競争に負けると言うのが通説ではなかったか。しかし対GDP200%超えでどうなったか。危険があるという警告だけか。 

安倍政権でのアベノミクスは効果があったのか。野党は検証で「効果なし」と報告している。 

異次元の金融政策で市場にカネを流せば物価は上がり、投資が増え、経済成長は税収を増やし借金は返せるし社会保障制度は維持できると考えた。しかしそうは行かなかった。 

岸田総理は野党の質問に答え「旧民主党政権の経済苦境から脱出、デフレで無い状況を作り出し、GDPを高め雇用を作り出した」と言う。 

本当にそうか。民主党政権前の自民党政権でも苦しかったのではないか。デフレは脱却されていない。民主党政権でも脱デフレ宣言をしようとしたが無理だった。物価目標2%は未達で達成の可能性は低い。GDPも450兆円から600兆円を目指したが今は500兆円前後か。GDP世界第2位の中国の1200兆円の半分だ。

雇用を作り出したと言うが非正規従業員数が多い。給料も上がらず若者は結婚も出来ず子育ては無理で少子高齢化の道を歩んでいる。今はコロナ禍でどんな対策をやっても効果は薄いが、格差是正、再分配は米中でも共通の課題だ。

財政健全化を重視すれば赤字財政は困ったものだ。野党は「ばら撒き財政」で総選挙対策を考えているのだろうが、財政出動が本当に効果が出るのか。カネはばら撒いたが、どこに行っているのか。バブルに走っているとすれば課税強化で取り戻さなければならない。

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