「ロウソク」はいろんな機能が組み合わさった 「美しさ」を持っているとファラディーは言う |
確か今年の日本人化学者でリチウムイオン電池開発の業績でノーベル化学賞を受賞した吉野先生が科学に興味を持ったきっかけは、小学校で先生が「ロウソクの科学」を読むようアドバイスされたことだとコメントしていた(間違いが無ければ)。
私も年をとると自然界を司っている物理に興味が出てきて宇宙物理、量子物理などを読みふけっているが、量子科学に行き渡ると理解が苦しくなるが、あのノーベル物理学賞受賞の有名なファインマン先生が「量子化学が分かったという者ほど分かっていないのだ」といわれたことを知り安心した。
そして今、2006年10月に購入し一度は読んで本棚に横たわっていた「世界でもっとも美しい10の科学実験」(ロバート・P.クリース著 青木訳 日経BP社 2006.9)を手にとって読み始めたら、その序文「移り変わる刹那」15ぺージが目に留まった。
19世紀のあの有名な物理学者マイケル・ファラデイーの公開講座で人気の高い講義の一つに「ロウソクの化学史」(日本では「ロウソクの科学」)の中でファラデイー先生は「ロウソク」のことを美しいといったそうだ。その根拠は外観での美しさではなく、いくつかの機能がありそれが効率的に成り立っているから「美しい」といったのだそうだ。
次のように記述している。
それによると、炎の熱はロウを溶かすが、その一方で上昇気流を生み出し、縁のほうのロウを冷ます。その結果として、解けたロウをとめておくカップ状のものができる。そのカップの中で、ロウの表面は水平に保たれる。なぜならそこには「地球をひとまとまりにしているのと同じ重力」が働いているからだ。溶けたロウは毛管現象によって芯の根元のところにあるカップから上部の炎のところまで引き揚げられる。一方、炎の熱のためロウの中で化学反応が起こり炎は燃え続ける。
ロウソクの美しさは、ロウソクの拠ってたつ科学法則の入り組んだ働きと、ほうそく同士を結び合わせる効率の高さにこそあるとファラデイー大先生は言うのだ(以上 「世界でもっとも美しい10の科学実験」 序文より)。
私たちはロウソクというと仏壇、墓参りに使うが、最近では台風15号、19号で停電になりロウソクを燈した人たちもいるだろう。
改めてファラデイー大先生の偉大さが分かった。今、高校生の孫が文系か理系かの選択をしなければならない時期らしい。この本を見せてやろう。
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