朝日新聞(2019.10.30)オピニオン&フォーラムの「再びマルクスに学ぶ」という大阪市立大の斎藤准教授とのインタビュー記事が目に止まった。
マルクスの資本論と言うと、最近大学のクラブのOB,OG会が東京で日銀OBとよんで講演会があり参加した。講演会の後の懇親会でマルクスの資本論の話になり、私も一度読んだことがあるが当時酷い労働環境で働かされていたのには驚かされたというと、日銀OBの人が「資本論」は資本主義の問題点を指摘、警告しているところが重要なんでそこを理解しなければならないというのだ。
なるほど、そこまで読み込むのかと感心したが、60年ほど前の学生運動でも「資本論」はバイブルのような本だった。
当時は近経(近代経済学)、マル経(マルクス経済学)とあり、近経が増えてきたがソ連の崩壊でマル経が勢力を失くしていたが、ある大学ではマル経も残っていたようだ。
その劣勢と思われたマル経も今、市場原理主義的資本主義によるゆがんだ社会を是正するのに資本論の本質が役立つのだという。
グローバリズムで市場原理的資本主義が地球を覆てきた。上位10%の金持ちが温室効果ガスの50%を排出、影響を受けるのは発展途上国であり、貧困層だ。
気候変動は正義の問題で、日本でもインフラが整っているところと整っていないところがあり整っていない地方で大きな被害が出ている。これは不平等の構図だという。行き過ぎた資本主義が人間と環境を破壊している。
これを変えるべきで脱成長モデルが求められるのだ。
斎藤准教授は日本は成長していないという。富が足らないのではなく、一部の金持ちが独占してる。だから課税して分配をすべきなのだ。経済成長路線で景気が良くなり経済が活気づくのではだめで、資本主義そのものが問題なのだとマルクスは警告していたのだそうだ。
要するに資本主義の下では地球、水、エネルギーなどの共有財産を一部の金持ちが囲い込み管理し、他の人につかわせないようにして共有財産を解体している。多くの人は「商品」として購入しない限り手に入れられなくなる。そこでもっと働きもっと消費に駆り立てる。常に何かが足りないから働こうとする。
そこに資本主義の矛盾がありマルクスは地球環境問題を考えていたという。
マルクスの資本論の本質は人間と環境の強い結びつきにあることが最近の研究で分かったというのだ。人間の本質は「自然と絶えざる物質代謝」にあると考えていたのだ。大事なのはその循環プロセスなのだが、資本主義はこの関わり合いを徹底して歪め、破壊が起きる。資本主義であれば不可避なことなのだ。
考えるに、ソ連や中国は環境を共有財産として大事に維持したかと言うとそうではない。中国などは工場からの煤煙、車の排出ガス、暖房で石炭を炊くため大気は汚染がひどい。何か重要なイベントがあるときは操業停止し、車の量を制限し一時きれいに見せる。
工場排水は有害物を含んだまま河川に放流するので河川は泡立ち、魚の死がいが浮く。
外部不経済の考え方か。マルクスの思想を体現していない。資本主義と同じなのだ。
今後はポスト資本主義、脱成長モデルが必要なのだ。生活の必要なものは「公有化」していく。「グリーンニュデイール」思想が芽生えてきた。米国ではオバマ政権がリーマンショック後、グリーンニューデイール政策を言い出したが、雇用や景気対策ばかりでなく、環境の問題も無視してはいけないという。
久しぶりに学生時代をおもいだすことができた。今のままの成長を続けると地球は1.5個必要だという。それはかなわぬことだ。環境負荷を考えた人間生活が必要なのだ。
日本を見ると、人口は減少化、若者の車離れ、いいかどうかわからない、実態がつかめないが農村回帰などが進んでいる。これを機にもっと構造的に検証しなければならないのでは。
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