全世代型社会保障制度を維持するためにその財源が必要になるが、安倍総理の「今後10年間は必要ないと私は思っている」と言う討論会での発言が、今後の増税論に足かせになっているようだ。
やっと10%へ増税できたばかりだが誰だってこれでは足りず、16%、25%と考え方はある。IMFだって日本に増税を勧告しているほどだ。財務省だって更なる増税を臭わせる。
今後増税が議論される場では必ず安倍総理のこの発言が問題になるだろう。安倍総理は「私の考えでは」と言っている。自民党政権での公式な考えではないのだろう。安倍政権はもうすぐ任期が来る。安倍政権が終わればいつだって増税を言い出すことはできるのではないか。
ポスト安倍を狙う岸田政調会長は財政再建派で将来の社会保障の財源論を先送りしたいらしい。新聞報道によるとその可能性について曖昧な言い回しらしい。
10%に増税したばかりで全世代型社会保障制度改革の提言を自民党がまとめるらしいが制度設計の議論はするが増税などの財源については当面議論しないらしい。時期尚早でもあるが自民党政権の信用落とす結果になりかねない。
3年後と言うと2022年で団塊の世代が75歳に仲間入りし社会保障儀が急騰する。2~3年以内に積極的な対応が必要と経済財政諮問会議は言うが、ちょっと早すぎないか。
5年後はどうか。アベノミクスの失敗を認め財源不足を訴える手はある。低金利でも設備投資は増えず、量的緩和政策でも物価は上がらない。更なる量的緩和を続ければインフレの危険もあるが、MMT理論から考えると経済の質が変わってきたのだ。だからカネの量で対応するも効果がない。
税収増の政策が他にあるか。MMTが言うように財政赤字を気にせず財政出動するとどうなるか。今、日本全国が台風被害で甚大な被害をこうむっている。一級河川などの崩壊で広い範囲で洪水が発生、それが各所で同時発生しているのだ。そうでなくても橋など公共施設の老朽化が激しい。更新しようにもカネがない。多目的ダム、スーパー堤防の必要性がうたわれているが費用vs効果だ。
昔は公共投資すればすそ野が広くあらゆる業種で恩恵が出る相乗効果がうたわれたが、今はどうか。電力会社が先行投資で日本経済を引っ張っていたが、今は原発の効果が経営上期待できず、電柱の地下化の必要が出てきても投資は無理だ。
規制緩和の必要性も謳われているが、低金利でも他の業種が新規参入することなど考えられるのか。安倍政権の規制緩和、戦略特区構想をみるととてもじゃないが期待できない。
むしろタクシー業への規制緩和で新規参入が増えたが、運転手の収入は減り、安全確保からも問題が発生し、今は規制緩和の前に戻そうとしている。規制には国民の生命財産、安全を守る目的もあるのだ。なんでも緩和すればいいということにはならない。
今、日本の予算を見ると100兆円を超える規模だ。税収は増えたとしても赤字は30億円にも上る。欧米では赤字財政を対GDP比3%以内に抑えようとしているが日本は例外を認められている。
税収を増やすには家計への再分配が必要だが、我が国は企業の内部留保が460兆円にもなっている。これに課税して使わせようとすると二重課税だと産業界は騒ぐ。
今回の増税が経済にどう影響するか。財政再建と相まって緊縮財政になれば国民の不満は高まり、欧米のようにポピュリズムの台頭で政治は混乱するだろう。
一方、高福祉高負担でも繁栄している北欧の国がある。何故なのか。将来に心配事のない政治では国民も高負担に納得するのだ。格差社会を解消し企業の利益を家計に再分配するマルクス経済学が今後必要なのではないか。資本主義経済は破綻しているかもしれない。
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