2019年2月22日金曜日

今日の新聞を読んで(218):2人の元・米政府当局者が見た在沖縄米海兵隊と辺野古


朝日新聞 2019.2.22
2人の元・米政府当局者が在沖縄米海兵隊と辺野古について朝日新聞(2019.2.22.)の耕論のインタビュー記事が目についた。一人は元米国務長官首席補佐官のローレンス・ウィルカーソンさん(以下ウィルカーソン)ともう一人は元米国防総省東アジア政策上級顧問のジェームス・ショフさん(以下ショフ)だ。

24日には辺野古移設の賛否を問う県民投票が予定されているが、自然破壊、沖縄偏在に反対する県民の声を無視して政府は工事を進めるらしいが、問題になっていた軟弱地盤の対策が酷い内容になってきた。8万本の現地打ち砂杭を予定していると言うがその深さが70mというのだ。

政府は施工実績が豊富な工法なので問題ないと言うがこの深さでの前例はないと言う。確かに私達のマンションでも現場打ち支持杭の工事はやるが径が1.5m、深さは10m程度だ。それに比べれば途方もなくでっかい工事になる。

工事費もどれだけかさむか。こういう事態が分かっていれば辺野古移設は止めたプロジェクトではないか。

辺野古計画も見方が別れている。辺野古の基地建設は戦略的価値は全くない愚かな計画(ウィルカーソン)と言えば、在沖縄海兵隊は戦略的に極めて重要だが最悪を避けるための妥協案だったという(ショフ)。

戦略的見方は、海兵隊には朝鮮半島有事への対応、平時では中国に対する心理的抑止力になる。今中国の軍拡に対して海兵隊を撤収することはタイミングとしても悪いと言う(ショフ)一方で、実弾射撃訓練ン、飛行訓練、爆弾投下訓練で運用が難しく、朝鮮半島有事、対中国、耐東南アジアへの戦略的役割としては戦力が小さすぎて戦略的価値はないという(ウィルカーソン)。

1990年代に海兵隊基地の編成見直しをした結果、アメリカ本土に移転するよりも沖縄駐留のほうが50~60%安く付くし米本土に移転すれば予算の関係から規模を縮小せざるを得なかったので沖縄駐留をきめたという(ウィルカーソン)。

また、一方で陸上自衛隊を海兵隊の代わりに育成、今の基地は維持するが日本の米軍基地は少しずつ減らす海兵隊を自衛隊に置き換える案も検討されたそうだ。普天間は市街地にあって事故の発生も危惧される。米軍再編ではグアム移転、艦載機の厚木、岩国への変更、嘉手納基地統合、北海道、東北への移転の可能性も検討されたそうだが騒音対策、他の基地へのアクセスを考えると辺野古しか残らなかった、最悪を避けるための妥協案だったのだ。唯最も心配されるのは「普天間飛行場が固定化されること」だそうで普天間移設を進める事は米軍基地縮小へのステップになるとみている(ショフ)。

辺野古埋め立ては軍事施設を沿岸に埋めたて建設する時代は終わった。気候変動で海面が上昇すれば自然災害のリスクで投資が無駄になる。中国からの攻撃に脆弱な面を考えると「辺野古の建設は愚かな計画」「変化に適応せよ」と警告する(ウィルカーソン)。

ウィルカーソンさんは中国に対する抑止力として戦略的に重要なのは日本防衛のコミットしているシグナルを送ることで、米本土からB2を日本上空に飛行させれば良いのだという。

全く同感だ。

在沖海兵隊、在日米軍について米国の方が真剣に検討している。日本とは大違いだ。でも日本でも検討されたのだろうが国民に情報の提供がなかったのかも知れない。

その点で言えば、民主党政権時の鳩山総理が「原則県外」と自民党政権時の辺野古移設の見直しを宣言した。沖縄県民は大いに期待したが「勉強する程に辺野古になる」と原則県外を捨てがっかりさせた。

当時は鳩山さんが何を検討したか分からなかったが、今回の2人の意見を聞いて納得出来た。

ウィルカーソンさんの考えは説得力がある。米国は海兵隊の今の規模を維持させたいために沖縄駐留に拘るのではないか。おまけに日本は高額な軍事費を肩代わりしている。「思いやり予算」はグアムでの米軍の生活費まで負担しているのだ。

そして今日本に駐留する米軍第7艦隊は日本の防衛ではなく米国の世界戦略で行動しインド洋まで派兵されている。中国の尖閣諸島侵略に困った日本が米国に働きかけてやっと「安保の範囲ない」のコミットを取り中国にシグナルを送ったのはオバマ政権時の末期だったのではないか。

是非を問う沖縄県民投票が24日になる。どういう結果になるか。結果は想像出来るが玉城知事の舵取りも厳しくなるだろう。

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