朝日新聞 2019.2.1 |
安倍政権が日本経済回復策として3本の矢を放つアベノミクスを打ち出したが、その成果として「賃金上昇」を求め政府は厚労省の「毎月勤労統計」の不正に手を出した感がする。
今のメデイアは「アベノミクスが重視する賃金上昇」「アベノミクスの弱点=実質賃金」で厚労省の統計不正がアベノミクスの是非に絡んでいることを主張する。
アベノミクスとは何だったのか。政府の財政出動、日銀の「異次元の金融政策」で市場にカネを大量に流せば物価は上昇、賃金も上昇し消費が増える。これが安倍政権が言う経済の好循環だ。
日銀は市場から国債を大量に買い入れ役500兆円近くになる。でも物価目標の2%にはほど遠く、1%前後、そして今、実質賃金の伸びの真偽が問われている。
その一方で、雇用が改善されているのだからアベノミクスの成果はあったと言う見方もある。でもその雇用の実質は非正規従業員がしめるらしい。これでは賃金も上がらず、消費も伸びない。人手不足の現象も出て外国人労働者の受け入れが問題になっている。
安倍総理は経団連に「3%の賃金上昇」を要求2%以上の賃上げに成功したと安倍総理は言うが、新たに経団連は「脱ベア」方針を打ち出しているようだ。
安倍総理の「3%賃上げ」要求が出た事から平均賃金が不自然な増加を示した。原因は2018年1月から毎月勤労統計で全数調査から抽出調査に変えたらしい。ポスト安倍で名前が上がってきた加藤さんが厚労相の時だ。加藤さんの責任は大きい。今の根本さんは、このときの不祥事の原因追及の矢面に立っているだけではないか。
専門家もデータ補正、調査対象、手法の変化で賃金上昇も「分かりにくい」という。
そして、こう言う不正があっても制作決定には影響しないと専門家は見ている。この6年間の賃金動向を見ると名目0.6%増、実質0.6%減と言う事で平均賃金は下がり続け、アベノミクスの課題は以前から指摘されていたことなのだ。
そういえば思い出すことがある。アベノミクスは企業の儲けを家計に再分配を考えているが海外の専門家は「トリクルダウンなんて今まで見たことがない」と酷評していた。国内の主流派経済学者もアベノミクスの非伝統的経済政策とみていた。
内需拡大、家計への再分配は前川レポート、21世紀版前川レポートでも指摘されていたことだが実現に至っていない。
問題は企業、経営者の考え方ではないか。大企業は各種優遇税制で企業業績に反比例する納税額だ。苦しいときに中小企業の納税に頼っていたが、中小企業も「今の仕事を維持する事」が大変なのだと言う。仕事は増えても工賃は変わらない。発注者が工賃上げを拒否するらしい。
各種税制の見直しで税収額を上げ、家計への再分配で社会保障など国民の福利に資さない限り日本経済の「緩やかな回復」から脱することは出来ない。
国会審議より野党による合同ヒアリングに期待したい気分だ。
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