朝日新聞 2019.2.23 |
日銀は量的緩和政策の継続に「2%物価目標」のグローバルスタンダードを掲げるが、本音は枠組み変更の危険より緩和継続の方が一番安全とみているのではないか。日銀の本当の考えは分からないが「2年2%」のフリップを掲げ記者会見したときの黒田総裁の自信に満ちた顔は見られず、何なら不安げな顔の記者会見だ。
2%物価目標は確かにグローバルスタンダードだが、達成した国はない。アメリカが近づいているという程度か。IMFの専務理事も「グローバルスタンダードではあるが各国の事情に合わせ対応すべきだ」と言い未達でも緩和縮小を了解している。
それでも日銀だけは副作用で銀行経営にも支障が出て来ているが、安倍総理が「2%達成」を唱えている限り日銀はその意に沿わざるを得ないのだ。それでも安倍総理は自分の任期中に何とか方向付けをすると言う。
日銀は金融政策で独自性を失っているのだ。政策委員には官邸からリフレ派が送り込まれる。2%物価目標への政府の固い決意が見られる。しかし政策委員の中でも以前は木内委員が異論を唱えていたが今は多くの委員が経済の変化に注目すべきだという。
でも考えてみよう。アベノミクスの第一の矢「異次元の金融緩和」で物価はとうの昔に上がっているはずだが、未達と言うことはアベノミクスの効果がなかったと言うことではないか。それでもアベノミクスのエンジンを加速することに手を貸しているのか。
朝日新聞(2019.2.23)オピニオン&フォーラム「異次元緩和 どこへ行く」インタビュー記事を読んでみた。
大規模緩和を継続しながらもう6年、2%目標は達成出来ず、20年度でも1%半ばが予測されている。万一景気減速で2%への勢いが弱まるとみれば追加緩和を実施すると言う。
では何が出来るのか。
今は短期金利-0.1%、長期金利ほぼゼロ程度であるが更に引き下げ、マネタリーベースも増加を加速するというのだ。
今、達成前の政策の枠組みを変更する事は適切でないというのが日銀の基本的考え方なのだ。日銀が1%、ゼロを掲げると円高圧力がかかってくる危険が有り、日本経済にとっても好ましくはない。
副作用で金融機関の経営悪化も地方の人口減、企業数減で金融機関の仲介機能が低下しているのが要因でそこは金融庁が注視しているという。
日銀が国債買い入れを増やせば財政規律が緩むのではないかと警告する専門家もいるが赤字財政は減っているが残高は増加しているのは確かだ。国、地方の借金を合わせれば1100兆円、対GDP比245%だ。中国は255%と言われているが本当の数字は誰にも分からない。習政権が潰れたとき、中国経済は酷いないようだったという事態も考えられる。
中国経済の減速、イギリスのEU離脱、米国経済は順調だが米中関税闘争はどうなるのか。海外経済情勢が景気の下振れのリスクになる事は誰だって分かる。中国の覇権主義に警戒するトランプ大統領の考えは賛成出来る面もあるが、今は来年の大統領選への存在感をアピールするために政策が厳しくなっていないか。
逆に日本の異次元緩和の縮小、出口戦略における影響がどう検討されているのか。円高、国債市場、金利の動向、2%物価目標への考え方などしっかり国民と対話する必要があるのではないか。
黒田総裁と安倍総理の話し合いで決まるものではない。安倍総理辞任は、即黒田総裁辞任なのだ。いつまで非伝統的金融政策の拘るのか。金融政策正常化へどう対応するのか。
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