2019年2月10日日曜日

大京アステージの管理費横領事件を考える(3):管理会社の不祥事は管理組合にもその責の一端がある


管理会社の背信行為、予算、決算、会計監査に見る詐欺、横領疑惑を未然防止するのは管理会社の内部チェックも大事だが、管理組合のマンション管理強化で防げないか。管理組合にもその責の一端がある。自分たちの財産、資産に対する安易な考えが管理会社の背信行為を許していないか。

「何故、こんな質の悪い会社を管理会社に登録しているのか」と問うと、「管理会社を選んだのは管理組合ではないか」「何故、管理を委託して良いのかどうか検討しないのか」と逆に詰問される。

分譲マンションではデベロッパー系の管理会社が「良い悪い」に関係なく付くことになる。「管理契約」もチェックしないままに契約を結び、ダラダラ管理が続く。

そんな中でも管理会社に疑問を抱く事も起きる。工事費が常識を外れて高い場合、第2回目の大規模修繕工事で大幅な工事費の不足が生じたときだ。工事費が高いときは管理組合が独自に見積もれば解決する。修繕工事費の不足は億単位で発生する。管理会社は管理費の値上げか一時数百万単位の臨時徴収を提案するはずだ。

この時、はじめて「こんな管理会社に管理を任せて失敗した」と管理組合員は気付くのだ。

でも、私の理事経験から「これで良いのか」と感じ、改善を提案するが一人の理事が騒いでいても始まらない。他の理事の賛同が必要だが多くの場合、「何をやって良いのかわからない」理事がほとんどで管理会社は足元を見て改善しようとしない。

お客様相談窓口に相談したり、どうしようもなくて直接管理会社の社長に直訴するが、それでも責任者は「やれることとやれないことがある」と管理会社寄りの発言をする。

「出来ないのであれば、管理を降りたらどうか」と言ったこともあるが、他の理事の無関心さに驚く。

「こんな管理会社は危ない」と感じることは普段の管理状況で分かるのだ。だから管理組合がしっかりチェックし管理すれば不祥事、詐欺、横領行為は防げるのだ。

(1)管理会社の担当者は「お前たちは素人、我々はプロ」という意識が強く自分たちのやり方でマンション管理をしようとする傾向にある。それが管理会社寄りの「手抜きの管理」をやっているのだ。

特に、社員数が1200人と他の会社の2500人と比べて少ない場合、少数精鋭と見るか「手抜き管理」をやっているとみるかだ。

(2)「管理契約」について一度も理事会で説明もないし検討した事もない。ただ総会の前に「重要事項の説明」で一括して担当者が説明してしまう。総会では組合員は「そんなもんだろう」と何ら理解もしていないし重要なものとも感じていない。

   ネットなどでは専門家が「管理契約」の見直しの必要性を主張しているが当然のことだ。

(2)予算、決算そして会計監査がいい加減だ。何時予算が決まったのかわからない。その年の決算もしないまま来期の予算が決算書類の中で表示される。

会計監査も適当のようだ。管理会社の提示する会計一覧表と銀行の預金通帳の残高があっていれば「異常なし」とでもしているのか。

一つ一つの支出が何時の理事会で決まり、相見積もりを取って適正な工事費、作業費、事務費であるかをチェックし、検収がきちんと出来て支払いがされたことをチェックしていない。

今回の大京アステージの社員によるマンション管理費の横領事件も予算、決算会計監査をきちんとやっていれば未然に防止できたのではないか(印鑑、通帳の管理も含めて)。

(3)工事費などの見積が適正かどうかをチェックしていない。相見積もりを取って出せと言うが言うことを聞かない。理由は系列の会社に丸投げしている場合に管理会社は指示できないらしい。「別会社だ」といって逃げる。

「高すぎる」と理事会が気がつけば別途に独自に見積をして安く出来ることが分かる。

この工事費も詐欺、横領とまでは行かないがそれ紛いの行為をやっている場合もあるので相見積もりでしっかりチェックすべきだ。

(4)改善を提案すると、「やりたくない理由」を先に言う(例として理事会の議事録を各戸配布を提案すると印刷代がかかるという)。手間がかかることをやりたくないのだ。

(5)そして不思議なことに肝心な話になると担当者、課長に至るまでダンマリ戦術をとる(どうでも良いことはペラペラ喋る)。時間が経つだけで問題の核心に迫り改善することが出来ない。

   そんな中で、即答したことがある。「印鑑、通帳をどう管理しているか」と問うと、「別別に管理している」というが、理事長は何もコメントしなかった。

   「管理費が他社に比べて2倍高いが、昔からのマンションは管理費が安くなっている
    ので我々のような新しいマンションの管理費を高くして調整しているのではないか」と問うと「そんな事はしていない」と即否定した。どうして分かるのだ。

会社から「カネのかかる事、手間にかかる事には安易に乗るな」と指示されているのか。

理事会の議事録でも担当者や会社に都合の悪いことは書かない。理事会の書記も内容をチェックせずにサインしてしまう。

(6)担当者の交代を要求しても「一番優秀な社員」といって頑なに拒否する。「良い管理会社の選択に「担当者の交代が出来るシステムが出来ている」かどうか」を確認する事も必要なのだ。

(7)そして気になったことがある。管理会社は「責任を負わない」事があるのだ。「責任を持つもの」「責任を持たないもの」を明確に区分させることだ。

   理事会が管理会社に工事を丸投げしたことがある。「失敗したときの責任はどこにあるのか」と聞くと「管理会社はせきにんをもたない」と言う。何のことはない、「無責任な管理会社の提案したことを採用するのか」と理事会で言うと誰も何も言わなかった。

   恐らく工事業者を紹介しただけで責任は業者にあると言うことなのだろう。では他の業務はどうなのか。管理会社は他の会社に丸投げするので責任はないのか。今時ソンな美味しい仕事が出来ると思っているのか。

普段の理事会でやり合っていれば、管理会社の欠点が見えてくる。でもほとんどの理事は自分たちのマンションの管理に無関心なのだ。そこが管理会社の背信行為、詐欺、横領が蔓延る要因になっているのだ。

今回の大京アステージの社員によるマンション管理費の横領事件も管理組合の責任が大きいのではないか。社長は「更なる管理体制の強化」を誓うが当てにはならない。甘い管理体制は大京アステージの経営風土で同じ事が繰り返されている。

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