2019年2月5日火曜日

大京アステージ横領事件を考える(1):デベロッパー系の甘い管理、管理組合の無責任さも影響か


大京アステージのマンション管理費横領で
業務停止処分
2018.12.28 朝日新聞デジタル
大京アステージのマンション管理費横領事件は、一方で管理組合の自分たちのマンションの管理の無関心をさらけ出した結果ではないか。これを機会に管理会社任せから管理組合主導でもっと基本に返って自分たちのマンションの管理を強化すべきではないか。

大手(?)マンション管理会社、大京アステージのマンション管理費横領事件を考えると管理組合にも自分たちのマンション管理で大きな落ち度があったのではないかと思う。大京分譲マンションでは必然的に系列の大京アステージが管理会社になる。

管理組合は示された「管理契約」を全く読まずに理事長が契約にサインして管理が始まる。総会の前には管理会社から重要事項の説明があるが管理組合の誰一人その重要性を認識していないから通り一遍の説明で終わる。本来ならしっかり理事会で議論出来るように管理会社は誘導しなければならないが、管理会社にとっては面倒だからやらない方がいいのだ。自分たちに管理が一番いいと誤解している。

管理会社は自分たちはマンション管理のプロ、管理組合員、理事は全くの素人と考え、自分たちの都合の良いように「手抜きの管理」をやっている。管理組合員のマンションの特性など関係なしに通り一遍のやり方をやっているだけだ。

理事会で管理の改善を言うと「いやいや」と担当者が口をはさんでくる。何のことかと思ったら「自分のやり方」と違っているのでけん制しているのだ。管理会社の担当者は理事会のメンバーではない。理事長の許可を得て発言しなければならない。

酷い担当者になると理事会や総会の議長を理事長に代わってやってしまう。議案も担当者が提案する内容を反対なしで決めてしまう。会社に戻って報告すると「お前は良くやっている」と評価されるのだろう。議事録も自分や会社に都合の悪いことは書かない。理事会の役員がサインするのだろうが内容など見ていない。

ところが管理契約でも議長は理事長だ。管理会社の担当者に委任することは出来ない。やるとすれば理事長代理や他の理事でなければならないはずだ。

管理契約に反するし、そんな総会、理事会は存在しないことになる。ではその間、予算執行はどうなのか。違法な予算執行にならないか。管理会社は何も言わない。改善を要求すると理事長が本来の姿に戻ったが、「どうしてそういうことをやっていたのか」と聞いても「改善したのだから文句があるのか」という言い方だ。「理事長に代わって説明している」と勝手な解釈は通用しない。

このとき以降、理事会、総会は理事長が執行することになった。

私のマンションはエントランスに勾配が付き、床材も滑り止めでないので「防滑」に問題がある。25年には防滑がマンションの重要管理項目になったが私が指摘するまで何らの対策も立てない。担当者に「大京に話してみたら」というと「親会社の悪口は言えない」と尻込みする。

担当者の交代を要求すると理事長と予め相談し理事会にかけることになった。他の理事は担当者の仕事振りを知らないので交代に反対した。再度交代を要求すると「一番優秀な社員だ」と頑なに拒否する。じゃあ管理契約に言う「善管注意義務」とはどんな意味なのかわかっているのか。

管理会社はマンションの維持管理をやっているのでマンション経営をやっているのではないのだ。ここが大きな誤解の元かもしれない。

ほとんどの場合、管理会社への不満は2回目の大規模修繕工事での工事費不足に対する対応で管理組合が「この会社ではダメだ」とはじめて知ることが出来るらしい。そこから管理会社にお任せでなく、管理組合主導のマンション管理が始まるケースが多いようだ。提示された工事費の高いことに驚き管理組合が独自に見積もりすると半分になったという例が週刊誌などに多い。

マンション管理会社に任せていることが「安心安全」と考えているのが理事長以下理事会の実態だが、任せる以上はしっかりチェックすべきであるがやらない。

今回の大京アステージのマンション管理費横領事件で私達管理組合も管理強化で対応すべきである。「被害をこうむっていないのだから問題ない」では済まされない。そういう不祥事が発生しやすい経営風土なのだ。

大京は以前にも沖縄で同じような事件を起こしているし、今労使で争議を繰り広げているようだ。2009年にも何かあったようだ。我が国では一番の契約戸数を誇ると言うが従業員数は1200人程度、一方契約戸数は少ないが他の管理会社は2500人規模だ。少数精鋭でやっていると考える見方も出来るが実情は「手抜きの管理」をやっているのだ。

全てが担当者任せだから何か事が起これば担当者の資質が問われる事になる。メッセンジャーボーイの役目しか出来ないと問題解決に時間がかかる。スタッフが少ないと相談する人間もいない。

更に自分たちの行為は管理組合に対する背信、予算、決算、会計監査のやり方によっては詐欺、横領の疑いをもたれるという認識が乏しい。

だから今回のようなマンション管理費の横領事件が起きるのだ。大京アステージの管理が甘いために不祥事、違法行為が起きやすい経営風土が出来ているのではないか。

さて、我々はマンション管理をどう強化するか。

まずお任せだった予算、決算、会計監査を理事会でしっかり管理することだ。工事、作業の一つ一つが理事会で決まり、妥当な工事、作業費なのか、終わればきちんと検収しているか。このチェックが基本である。管理会社任せの工事費、作業は2倍も高い例が多い。これに気づいた管理組合が独自に見積をする例が多い。

そして「管理契約」の一つ一つをしっかり議論すべきだ。理事会で「どうなっているんだ」と聞くと「管理契約に書いてある」と直接の説明を避けたがる。要は説明できないのだ。

更に理事でもない組合員が改善を申し出ても理事会で検討しているかどうか分からない。理事会の考えで否定されることもあるのだ。聞くと「理事会で承認されている」という。

全て管理会社は理事会中心だ。だからマンション管理を強化しようと思うとまず、理事がしっかり姿勢を示すべきだが、何をして良いか分からない理事ばかりだ。自分の家なのに「何をすべきか」分かっていない。

管理会社の上から目線、理事の知識不足を改善するためにはマンション管理の専門家を理事の一人に選任したらどうか。そうすれば管理会社の「手抜き管理」にもけん制できる。マンション管理の適正化に向けて議論すべき議案も内容のあるものになるのではないか。

マンションを買う前に、「自分の家でも思うようにならないよ」と忠告する資料を見たことがあるが、まったくその通りだ。思うように行かない。

世の中はどうなっているのか、ネットで検索してみたら驚いた。結構不満があるのだ。「〇〇管理会社 不祥事」で検索するとヒットする。話半分でも酷すぎる。

そんな中での大京アステージのマンション管理費の横領事件は大きい事件だが報告されている原因では納得出来ない。通帳と印鑑を担当者が保管していたらしいが「管理契約」では違反だ。一番幼稚な手口だ。寧ろ管理組合にも手落ちがあったことにならないか。

背後にモット別な理由が有り公表できないのではないか。この事件が発覚したきっかけが分かれば管理組合も対策が立てやすい。

関連記事
2019.11.3
マンション管理の適正化へ:国土交通省も管理会社の登録厳正化と質の向上を目指せ
yamotojapan.blogspot.com/2019/11/blog-post_3.html

[後記]
国土交通省中部整備局のHPを見ていたら、今回の行政処分に対する大京アステージの次のような資料が見つかった。



具体的に何をやったのか確認してみないか。人数の少ない会社で通常の業務をこなしながら実効性のあるこれらの対策を実施できているかどうか。

[後記]
これらの甘いマンション管理が大きな事件につながったか
2020.11.10掲載
逗子の急傾斜面崩壊死亡事故(2);大京アステージのマンション管理の是非が法定の場に

2020.11.1掲載
逗子の急傾斜面崩壊死亡事故(1)区分所有者、大京アステージの責任は大きい


関連記事
2019.1.30掲載
今日の新聞を読んで(211):甘い管理体制、大京アステージのマンション管理費横領事
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2019.2.8掲載
大京アステージ管理費横領事件を考える(2):大京アステージは契約者に不祥事をどう説明しているか
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2019.2.10掲載
大京アステージ管理費横領事件を考える(3):管理会社の不祥事は管理組合にもその責の一端有り
yamotojapan.blogspot.com/2019/02/blog-post_10.html

2019.2.11掲載
大京アステージ管理費横領事件を考える(4):無関心ではいられない。管理組合、理理解活性化のために
yamotojapan.blogspot.com/2019/02/blog-post_63.html

2019.2.11掲載
大京アステージ管理費横領事件を考える(5):考えてみないか監事の役割、専門家を理事に選任
yamotojapan.blogspot.com/2019/02/blog-post_74.html


4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

ああ、解る気がします、
水漏れ事故で、今酷い対応されてます。
代理人立てて、闘おうつもりです。

真人 さんのコメント...

10月に担当者交代の通知が張り出された。
2年前に担当者交代を申し出たら、課長が理事長と相談し、必要ないということになった。
それでも理事会にかけたら5:1で交代を否定された。

どうでもいいことにはテキパキ答えるので他の理事は誤解していたのだろうが
肝心の話になるとムッツリ戦略でらちが明かなかった。

恐らく余計なことは言わない、約束しないためだろう。みんなそうだ。

「一番優秀な人材」と頑なに拒否していたが、交代となった。

理由はわからない。

今回の管理費横領事件で社内体制の見直しで何か出てきたか。

定期的異動か。

退職したのか。

担当者が変わるということはマンション管理法を見直すチャンスなので理事会に
提案したがどうなるか。

管理会社主導から管理組合主導に早く移行する必要があることに理事たちが気付くか。

真人 さんのコメント...

管理会社の担当者が議事録を作成しているときは注意!
担当者の都合のいいように内容を矮小化したり、自分たちに都合の悪いことは記録に残さない。

だから議事録をチェックする理事は、内容をよく見て間違いがないかどうか、抜けてる部分がないかどうかをチェックし、訂正をさせることが重要だ。

多くの理事は無関心か無知で内容もわからづ押印してしまうことがある。管理会社はチェックを受けたのだから一件落着の姿勢を通す。

往々にして理事長は名前を貸して「名義貸し」の状態で管理会社の担当者に都合のいいようにマンション管理されるので注意!

真人 さんのコメント...

マンション管理の適正化で国土交通省は管理組合を強化しようとしているが抜けている。

管理組合の活動が鈍い原因は、管理会社の姿勢にある。

「何でもやります」「心配ありません」と安心させるので管理組合、理事会は本当に何もせず総会、理事会の議題を決め、議長までやってしまう。何のテーマも持たず、マンションの巡視もせず、ただ会議に出て提案された議題にYESかNOを言うだけだ。

任せっぱなしで気が付いたときは、2度目の大規模修繕工事で工事費が数億円不足したときだ。一時的に数百万円徴収するか、毎月の管理費を大幅に値上げするかだ。

そうならないように普段から予算、決算、マンションの不具合などよくチェックすることだ。

また、国土交通省に管理会社は登録しなければならないが、このチェックが甘い。管理会社の質の向上こそマンション管理の適正化、管理組合主導のマンション管理を促進することだ。