2019年2月7日木曜日

今日の新聞を読んで(215):自民支持者はどうして手っ取り早く安倍、小泉さんを評価するのか


読売新聞(2019.2.6)の自民党員調査で、最も評価する歴代総裁の1位に安倍支持者は安倍晋三(38%)、石破支持者は小泉純一郎(28%)を上げたと言う。何が評価されているのか。

一方である調査「日本をダメにした10人の総理」によると1位は菅さんだが、2位は安倍総理、7位に小泉純一郎だ。4位の宇野さんは女のことで短い任期だった。5位の森さんは「神の国」発言などで失敗、6位の麻生さんはリーマンショックにあい解散が遅れ自民党を下野させた責任があるらしい。

安倍総理、小泉純一郎さんは評価される一方で、「ダメな総理」として評価を落としている。

安倍総理は第一次政権の時は年金問題、閣僚の不祥事、そして体調を崩して政権を放り投げた。自民党政権の不人気は民主党と政権交代で下野することになった。そして3年後に再び総裁、総理の芽が出て2次政権を樹立することになった。

石破さんの圧倒的優位の下馬評を覆し自民党永田町村の本選で地方自民党員の評価が高かった石破さんを破った。民主党政権に飽きていた国民は自民党・安倍さんの支持に回った。

日本経済の復活でアベノミクスを提唱、円高是正が急務で市場にカネをジャブジャブ流す非伝統的金融政策の「異次元の金融緩和」を第一の矢を放った。市場は円安に流れ輸出産業は潤い株高に転じた。

その後は飛ぶ鳥も落とす勢いで自民党は国会での議席を伸ばし、野党は衰退の道を歩んでいる。歴史上も稀な一強独裁政権を築き上げている。自民党総裁の2期、6年を改正し3期9年の長期政権に向かっている。

しかし最近は「負の遺産」になりそうな事態が目立ってきた。

言うまでもない。政治手法が問題なのだ。自分のやりたいことを人事にまで手を出して強引に進める。公文書偽造、改ざん、そして飽くなき野党潰しは民主政治の根幹を揺るがすし、憲政史上まれに見る総理夫妻の森友疑惑、官僚の忖度政治は政権ガバナンスの欠如だ。

人事権の乱用は権力で反対勢力を黙らせ、疑惑事件のキーマンがいつの間にか姿を消す失踪(?)は社会主義国のやり方そのものだ。

一方小泉さんはどうか。

ワンフレーズがうまかった。自分のやることに抵抗する人間は「抵抗勢力」と脅せば自民党の長老達は黙る。ダメなら「自民党をぶっ壊す」と豪語していたが結局はぶっ壊さなかった。理由を聞くと「自民党は代わったから」と平気で言ってのけた。

郵便貯金で多額の資金を集めても使うのは非生産的な国鉄の運転資金と批判して郵政民営化を進め資金の有効利用を訴えた。国民の絶大な信用を得たと思ったが、内実は郵政民営化はアメリカからの要求事項なのだ。

年金問題が大きな社会現象となり始めたとき、早々と国会を閉めて自分は退陣した。後をついだ安倍政権に批判が集中したことを考えればうまく逃げた者だ。

今は、「原発再稼働」に反対して運動を繰り広げている。現役時代と引退後は考えが変わったのだと豪語する。

しかし、忘れてはいけないのは谷垣さんの存在だろう。

政権交代の可能性が出て来たときの自民党総裁選で現職の総裁だから当然に立候補すべきだったが、当時の自民党幹事長だった石原さんが強引に出馬したために諦めた。石原さんは失言もあって安倍さんに負けた。

総裁に選ばれたとき、安倍さんは下野時代の大変なときに自民党をまとめていた谷垣さんの功労を評価した。

リベラル色が強い谷垣さんだ。政権に不満が出てくると谷垣さんを取り込んで人気挽回を図る動きもあったほどだ。残念なことに趣味の自転車で転落事故を起こし結局は政権に参加する事なく引退し、今でも復帰を望まれている。

強い発言力で政治を引っ張ってきた小泉、安倍さんも自分の後がどうなるか考えなければならない。一見まとまったように見える政権もその後が反動で混乱することは目に見えている。

総裁、総理として評価するには、その後がどうなるかも考えて評価すべきだ。



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